細川たかし 芸道45周年記念して杜このみと彩青の「チーム細川」でコンサート開催 3人ともに記念すべき公演に

2020.9.4

1975年に『心のこり』でデビューして以降、レコード大賞2連覇、男性歌手史上初の3冠達成、さらにNHK紅白歌合戦に計39回出場という輝かしいキャリアを積んできた演歌歌手の細川たかしが今年芸道45周年を迎えたことを記念して、愛弟子の杜このみと彩青とともに4日、北とぴあ さくらホールにて記念コンサートを開催、自身初の有料生配信も同時に行われた。

 

細川がコンサートを行うのは1月18日アスカル幸手(埼玉)での公演以来で実に約8カ月ぶりで「久々にお客さんの前で声が出せるのが非常に楽しみ。目一杯がんばります。ただ、8カ月お客さんの前で歌っていないので歌詞があやしい……」と自虐を混ぜながらも久々のコンサートに胸を躍らせているようだった。

 

昨今の状況を踏まえてコロナウイルス感染拡大防止策を徹底し、前後左右空席の会場最大定員の半数を定員として、サーモカメラ設置での検温、マスク着用必須、発声・歌唱・声援禁止のもと開催された本コンサート。
大変な時期ですが止まっていても進まない。これをきっかけに早く日本が元気になれば」といった願いも込めていた。

 

コンサートは3人による『浪花節だよ人生は』でスタート。
師匠の記念すべき周年コンサートを祝うべく駆けつけた杜と彩青だが2人にとっても記念すべきステージ。杜は先日、発表されたとおり現在妊娠中で、2月出産予定、11月には故郷の札幌に帰る予定のため、細川が「今日が(出産前)最後のステージかなと……」と話す通り、しばらくステージを離れる予定。彩青は18歳になって初のステージだ。

3人のMCコーナーでは細川が「このコンサートの最大の目標は歌詞を間違わないこと!(コンサートが)8カ月ぶりなのですんなりいくわけがない」と話すと杜がすかさず「師匠!もともとですよね?」とするどいツッコミ。それに対し細川は「(デビューから)8年経つと女房みたい」と弟子の成長ぶりに顔がほころぶ姿はまるで孫とのやりとりのよう。

 

続く細川のコーナーではレコード大賞で大賞を受賞した『北酒場』、デビュー曲で新人賞を受賞した『心のこり』、こちらも大賞を受賞した『矢切の渡し』を続けて披露。
演歌は暗いイメージがあったが『北酒場』で明るいイメージに変わった。レコ大は2年連続で受賞するのは難しいといわれていた中、『矢切の渡し』を原曲のちあきなおきさんとは違った感じですっと歌ったら棚ぼたで受賞できた」とこの日ばかりは自身の輝かしき功績を自画自賛。

その後、『佐渡の恋唄』、『女の十字路』と披露し、杜にバトンを渡した。
子供が自慢に思える母に」と気合が入る杜は2013年のデビュー曲『三味線 渡り鳥』、かわいらしいメロディーが印象的な『残んの月』、昨年の勝負曲『王手!』を続けて披露。
杜が細川に出会ったのは13年前。

18歳の時に札幌まで来ていただいた感動は今でも忘れられないです。全身黒の服に骸骨のTシャツだったので怖い人なのかな……と思いましたがコンサートを初めて観た時に全身がしびれるほどに感動しました。年々パワーを増しているのもすごい。これからも長生きして頂いて歌声を届け続けてほしい
と、尊敬する師匠への祝辞を送った。

その後、最新曲『郷愁おけさ』を披露し、彩青にバトンを渡す。
津軽三味線と尺八も使いこなす彩青はデビュー曲でレコード大賞 新人賞を受賞した『銀次郎 旅がらす』を尺八とともに、最新曲『津軽三味線ひとり旅』を津軽三味線の立弾きとともに披露し、会場を沸かせた。
師匠とは11歳の時に初めてお会いした。番組で共演した際に『声変わりが終わったら歌手を目指さないか』と声をかけて頂いた」と、思い出を振り返る。それから約7年たった今、師匠の願い通り歌手として会場を沸かせている。MCが師匠に似てきているように感じるのは気のせいだろうか。

続くコーナーでは三橋美智也氏の名曲をそれぞれがカバー。
彩青は『哀愁列車』を初めて披露。杜このみは『達者でナ』、細川たかしは『古城』と同じ北海道出身の偉大な先輩歌手の名曲を歌い継いだ。

「チーム細川」といえばやはり民謡。
三味線の演奏とともに披露した杜『津軽じょんから節』、彩青『津軽よされ節』のあまりの迫力に息をのむ。
その後、細川は彩青による尺八で『津軽山唄』を披露。師弟コラボの喜びを歌にのせた。

コンサートの締めはもちろん細川のステージ。
最新曲で古関裕而氏作曲の『2020 イヨマンテの夜』、『北緯五十度』、彩青の三味線とともに『望郷じょんから』を8カ月ぶりのコンサートとは思えない歌唱力で迫力満点に披露し、記念コンサートの幕を閉じた。

開演前、取材陣に45周年を振り返ってどうか聞かれた細川は「単なる通過点。あと10年後の55周年に向かって前進していきたいですし、声が出る限り頑張っていきますのでよろしくお願いいたします。細川たかしが頑張れば少しは演歌界も明るくなると思いますし、彩青のような歌の上手い若い子たちにもどんどん演歌を歌っていってほしいので、これから10年間は若手を発掘していきたい。いまや人生は100年ですから、80歳になってもまだ20年ありますからね」と今後は自身の活動だけでなく若手の育成にも意欲を示していた。
また、自身の活動について聞かれると「体が資本ですから。健康に気を付けて、冬はスキー、夏はゴルフ、暇があったら酒。さらに暇があったら歌、というふうにやっていきたい」と笑いを誘っていた。

 

杜も「年々パワーアップしている」と話す通り、全く年齢を感じさせないパワフルな歌唱をみせてくれた細川。全員の歌唱が素晴らしかったことは言うまでもないが、まるで普遍的で理想的な家族の姿をみているような押しつけがましくない”優しさ”溢れる「チーム細川」の様子がなんとも心温まるコンサートだった。

関連キーワード