「武道館最高!!」山内惠介 デビュー20周年記念コンサートでデビュー曲から最新『残照』まで自身の歴史を熱唱

2020.11.10

今年、デビュー20周年を迎えた演歌界の貴公子・山内惠介が、11月6日、念願の日本武道館でデビュー20周年記念リサイタルを開催した。

 

新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けて、3月から予定されていたコンサートツアーが中止となった山内だが、10月6日の大阪・フェスティバルホールを皮切りに、全国5都市12公演でリサイタルを実施。ツアーファイナルとなる日本武道館は、来夏に延期された東京オリンピック・パラリンピックに向けて7月に改修工事が終了したばかり。ソーシャルディスタンスを守るために、会場の客数は半分以下に制限されたものの、20周年を祝うファンたちの熱気に包まれ、山内は改修後にコンサートを行う初の演歌歌手として武道館で昼・夜の2ステージを行なった。

提供:サンニュース

盛大な拍手と歓声に迎えられ、胸に「残照」、背中に「20」の文字が描かれた白のスーツで登場した山内は、まず、20周年記念シングル曲『残照』を熱唱。その後、「日本武道館最高! 皆様のお陰で歌手生活20周年を迎えることができました。念願の日本武道館で20周年記念リサイタルを無事に開催することができました。すごい光景ですね。絶景でございます」とあいさつ。ファンが掲げる「おめでとう」「武道館、連れてきてくれてありがとう」などの横断幕をネタに会場を沸かせた後、「言葉では言い表せないほど感謝の気持ちでいっぱいですが、僕は歌い手ですから今日は歌で感謝の思いを紡ぎたい」と語り、コンサート恒例の万歳三唱でファンと気持ちを一つにした。

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その後、黒いスーツに着替え、夢だった日本武道館にたどりつくまでの20年をファンとともに振り返るべく、2001年のデビュー曲『霧情』から、『海峡雨情』、『二十才の酒』、『君の酒』、『流氷鳴き』とデビュー5年目までのシングル曲5曲をメドレーで歌唱。歌い終えた後、「気持ちいいーーー!」と叫び、顔をほころばせた。

 

次いで、彼岸花が描かれた白い衣装にチェンジし、2007年、事務所を移籍し、佐々木小次郎に扮して『つばめ返し』をリリースした時の思い出話を披露。「自分で言うのもなんですが、この頃から山内惠介の快進撃が始まりました」と語って場内を盛り上げ、『つばめ返し』から『恋する街角』、10万枚突破のヒットを記録した『風蓮湖』、10周年記念曲第一弾の『白樺の誓い』、第二弾でそれまでの演歌歌謡の殻を破るべくリリースし、自らが「ターニングポイントとなった曲」と語る『冬枯れのヴィオラ』を歌い上げた。

 

エンジの衣装に着替えた後は、「演じるということを学んだ3曲」と言う『涙くれないか』『釧路空港』『恋の手本』を熱唱。「広い会場だけど、(お客様を)近くに感じるのは、心がつながっているから」と語り、ファンの笑みを誘った。

 

その後、時をさかのぼり、2006年にリリースした『船酒場―ふねさかばー』を歌唱した山内は、当時、テレビになかなか出られなくなり、恩師・水森英夫氏に「自分からやめるって言うな、やめた方がいいと思ったら俺が言う」と言われたことや、ファンがいてくれたから続けてこられたことなど、心に残るエピソードを披露。次いで、斉藤功氏のギター、村山雄三氏のマンドリンというアコースティックの特別バージョンで尊敬する美空ひばり『悲しい酒』を熱唱。美空ひばりが武道館で行った35周年記念リサイタルをテレビで観て、歌手への思いを熱くしたというだけに、武道館のステージに立てている喜びをひときわかみしめたようすで、歌唱後「幸せです」と笑みをこぼした。

 

9月にリリースされた『残照』の「花盤」「駅盤」に収録されたカップリング曲『緋恋花』『網走3番線ホーム』を披露した後は、15周年記念曲であり、初の紅白歌合戦出場をつかんだ『スポットライト』を歌唱。ステージ上のスクリーンには、デビューから紅白までの道のりが、山内の様々な写真で綴られるとともに、恩師・水森英夫氏からも「15年目で初めて紅白歌合戦に出場できることになり、僕も泣けた。(山内が)生きてきた姿勢を見てきたから」というビデオメッセージが登場。初めて出会った福岡でのカラオケ大会で、山内のお母さんから「歌手にしてください! 東京に連れて行ってください!」と懇願されたというエピソードも明かされ、山内もそれを受けて、お母さんとの心温まる思い出を披露した。

 

リサイタルもいよいよ終盤。ラメに彩られた白のタキシードに着替えた後は、『流転の波止場』『愛が信じられないなら』『さらせ冬の嵐』『唇スカーレット』と紅白連続出場を飾った昨年までのシングル曲を熱唱。コンサートの途中、「歌は自分の分身。20周年ですべて(の歌)に光をあてられるのはすごく幸せ」と語り、デビューからリリースしたシングル曲すべてを歌い終え、「胸いっぱい。一生忘れられないリサイタルになりました」と深くお辞儀。さらに、「いい方たちと巡り会え、いい環境で大好きな歌の道を歩ませてもらっている。うれしいことも悲しくつらいことも、ファンのみなさん、恩師、友人、そしてあなた、あなたがいるからがんばれるんだなって思います」と涙を浮かべ、ラスト曲となる『振り返れば、いつも君が』を心をこめて歌い上げた。

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アンコールの拍手に沸く場内に、「残照」の文字と景色が描かれたド派手なジャケットに身を包み現れると、ステージの隅から隅までを疾走。「息が切れた」と言って、ファンを笑わせた後、2015年にリリースされた『ファンが選んだベストアルバム』にも収録され、コンサートで盛り上がる歌として人気の『夢見る恋人たち』を歌唱。その後、11月4日発売の14枚組BOX『20th Anniversary Complete Box』に収録された自身初のクリスマスソング『神様の贈り物』を初披露、初挑戦となるダンサブルなポップスでファンを魅了した。そして、最後はロングヒットを続けている『残照』をフルコーラスで熱唱。「25周年、30周年と息の長い歌手になるようがんばっていきますので、よろしくお願いします」と挨拶した後、「武道館最高!!」と叫び、万歳三唱して、念願の武道館での記念リサイタルをファンと一体になって締めくくった。

 

山内の魅力は表情から滲み出る色香と、全身を使って最後に搾り上げる歌唱法、そして長年ラジオで鍛えた当意即妙の話術だが、今回はそれに加えて20周年を迎えた自信や貫禄までもが感じられるステージであった。25周年、30周年の山内の姿が楽しみでならない。

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