氷川きよしが歌手人生の原点・中野サンプラザでコンサートを開催 同日発売のニューアルバム『南風吹けば』は「すべてが癒しの曲」―― 「暖かい南風のように皆様の背を押すことができれば」

2021.6.9

氷川きよしが、東京・中野サンプラザホールで『氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021~Never give up~』を開催。
このコンサートで、自身のコンサートツアーのステージが2513回目となった氷川。
「2001年に初めて単独コンサートを開いた思い出の場所」という歌手人生の原点のホールで、集まったファンを前に全24曲を熱唱した。

 

氷川の今年のツアーは1月に埼玉のウェスタ川越からスタートする予定だったが、コロナの影響で3会場が延期になるなど波乱の幕開け。
2月1日、2日に行われるはずだった中野サンプラザ公演も延期となり、この日のコンサートは、振替公演として開催された。
当日は、客席はコロナ対策のためソーシャルディスタンスを保ち、観客は通常の半分の約1,000人に制限して行われた。

コロナで辛い思いをしているお客さんを勇気づけようという気持ちの現われか、コンサートの冒頭、疫病を払うという言い伝えのある青いアマビエのコスチュームに身を包んで登場した氷川。
幕開けの一曲は『大丈夫2020』、続いて『きよしのズンドコ節2020』、『星空の秋子』とアップテンポで元気な曲からスタートした。
客席は半分とはいえ、皆、手に手にペンライトを振って応援。歓声や声掛けこそ控えていたものの、心のこもった拍手を送っていた。

バックバンド「チームHK」の演奏の間に黒のタキシードに着替えた氷川。4曲目に披露したのは先ほどまでの元気なステージから一転、バラード曲『母 (Forum ver.)』、しっとりと気持ちを込めて歌い上げた。
ここでこの日最初の観客への挨拶。
「今日は皆さん、お忙しい中、暑い中、ようこそお越しくださいました。こんなに暑いと、どなたもいらっしゃらないのではないかと心配していましたが、思ったよりたくさんの皆様に来ていただいて安心しました(笑)。コロナで参ってしまいますけれど、今日はコンサートでひととき現実から離れて、夢とロマンの世界を楽しんでいってください」

ここからは、氷川のオリジナル作品6曲をノンストップで披露。
「いつも曲をいただくと、歌の中の主人公の気持ちを分かろうと思って詞を読むんです。ここではその主人公たちの気持ちが理解できる曲を選びました」と選曲理由を説明した後、『残雪の町』『黄金岬』『二度泣き橋』『石割り桜』『出発』『櫻』を続けて熱唱。
続いて披露した、3月に発売した新曲『南風』については、
「コロナ禍の中で、少しでも明るい気持ちになってほしいという思いが形になってこの作品が出来ました。頑張れっていうより、南風のように暖かく背中を押すような曲にしたいという思いを、恩師の水森英夫先生とかず翼先生が曲にしてくださいました」

 

さらに「この『南風』も収録されているアルバム『南風吹けば』が本日(6月8日)発売になりました。最近はテレビをつければコロナ、コロナで不安になるし、そんな時はこのアルバムを聴いて、歌詞カードを見ながら歌の中の主人公の気持ちになって楽しんでいただければと思います。すべてが癒しの曲になっていますのでぜひお聴きください」とファンの気持ちに寄り添いながらアルバムを紹介。
アルバム収録曲の中から、作曲した水森英夫がレコーディング音源を聴いて「作曲家人生の中で3本の指に入る楽曲になった」と語ったという『星空のメモリーズ』、アルバムの初回完全限定スペシャル盤の特典ミュージックビデオに収められた、湯川れい子作詞の“逸曲”、氷川が「色っぽくて、艶っぽくて男女の性を超えた人間としての思いを表現した曲」と語る『紫のタンゴ』を情感たっぷりに歌い上げた。

コンサート後半は、中野サンプラザで開かれた初めての単独コンサート以来、司会を務めている、西寄ひがしを加え、トークも交えながら、さらに熱気を帯びたステージが展開された。
ステージ袖から登場した氷川は、これまでの洋装から一変、青い紋付、金色の袴に身を包んでキリリとした姿を披露。ここからは“演歌師”・氷川きよしの顔を見せる。
「22年前、初めてのこのステージで、緊張しながら歌った」というデビュー曲『箱根八里の半次郎』、2曲目の『大井追っかけ音次郎』に客席からは大きな拍手が送られた。
この2曲は、氷川にとって1枚目、2枚目のシングルでともにミリオンセラーを記録。改めて歌手としての実績のすごさに驚かされる。
和装での3曲目は、2003年に第45回「輝く!日本レコード大賞」最優秀歌唱賞を受賞した『白雲の城』。堂々とした歌いっぷりで、男らしい一面を見せてくれた。

 

ここで衣装替えを行った氷川は、一変、深紅のドレス姿を披露。照明などステージの雰囲気もこれまでとガラリと変わり、曲は、叶わぬ恋、破れた恋を激しく歌い上げた『枯葉』。
驚いたのは歌い方ががらりと変わったこと。まるでロック・オペラのステージを見ているようで、これまでとは違う世界が広がった。
続いては禁断の愛を描いた壇れい主演舞台の主題歌『恋、燃ゆる。』。一途に思い続ける恋心を感情豊かに歌った。

そしてステージは終盤へ。ここでも雰囲気をがらりと変え、ホワイトとピンクのスーツにピンクのステッキ、ピンクのハットを被った、陽気なスタイルで登場。
アルバム『生々流転』に収録されている『Call Me kii』はまるで1930~40年代のアメリカのミュージカル映画を見ているよう。
続いて歌ったアルバム『パピヨン』収録の『Never give up』とともにエンターテインメントなステージを展開した。

ラストに向けてここからステージはさらにヒートアップ。肩を出した黒のボディスーツに着替えた氷川が『限界突破×サバイバー』、『白い衝動』でハードな世界を魅せる。
照明が落とされた客席に無数のペンライトが揺れ、この日一番の盛り上がりを見せて、コンサートはいったん幕。

客席からのアンコールの拍手が響く中、ステージ中央の階段の上に姿を見せた氷川は、純白のマントをまとい、布袋寅泰の手による『I Don’t Wanna Lie』を熱唱。自分の心に嘘はつかないという氷川自身の気持ちを歌った曲だ。
そしてラストは「氷川きよしの心の深いところまで見て作ってくださったのかなって思う」と語ったGReeeeNの作詞・作曲による『碧し』を歌い、2時間半に及んだステージは幕を閉じた。

 

今回のコンサートでは、アンコールまでの2時間半の間に、7着の衣装に着替えるという贅沢なステージを見せてくれた。
そしてその衣装に合わせて、コーナーごとに演歌、歌謡曲からロックまでさまざまな歌を聴かせてくれた。
思わず唸ったのは、歌う曲のジャンルによって歌唱法を変えていたこと。中には、「あれ、今、氷川きよしが歌ってる?」と思わずステージを見返した曲があったほど。
そして何より圧巻だったのは、そのすべての歌が極上だったこと。日本には、氷川きよしというジャンルを超えた“超絶シンガー”がいることを幸せに感じた2時間半だった。

 

〈氷川きよしスペシャルコンサートツアー2020-2021 ~Never give up~セットリスト〉
M1 大丈夫2020
M2 きよしのズンドコ節2020
M3 星空の秋子
M4 母 (Forum ver.)
M5 残雪の町
M6 黄金岬
M7 二度泣き橋
M8 石割り桜
M9 出発
M10 櫻
M11 南風
M12 星空のメモリーズ
M13 紫のタンゴ
M14 箱根八里の半次郎
M15 大井追っかけ音次郎
M16 白雲の城
M17 枯葉
M18 恋、燃ゆる。
M19 Call Me Kii
M20 Never give up
M21 限界突破×サバイバー
M22 白い衝動
M23 I Don’t Wanna Lie
M24  碧し

氷川きよし『南風吹けば』

2021年6月8日(火)発売

Aタイプ 初回完全限定スペシャル盤(CD+DVD)

 COZP-1775~1776 税込¥3,700(¥3,364+税)
※豪華歌詩ブックレット ※ステッカー封入(Aタイプ絵柄)

Bタイプ通常盤(CD)

COCP-41492 税込¥3,200(¥2,909+税)
※豪華歌詩ブックレット ※ステッカー封入(Bタイプ絵柄)

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