二見颯一、セカンドミニアルバムのリリース記念イベントを開催。ライブ初楽曲披露で「緊張しました!でも自分らしく歌えたと思います」

2021.8.6

今年、『第35回日本ゴールドディスク大賞』ベスト・演歌/歌謡曲・ニューアーティスト賞を受賞するなど、民謡で培われた“やまびこボイス”を武器に令和の正統派演歌歌手として活躍する二見颯一が、ミニアルバム『颯2』をリリース。
発売を記念した有観客&ネット配信イベントを東京・中目黒のイベントホールで開催した。ライブでは初披露となる曲も含め『颯2』収録曲のほか、全13曲を熱唱した。

ライブはセカンドシングル『刈干恋歌』のカップリング曲『望郷終列車』からスタート。
『刈干恋歌』の衣装として作ったというさわやかなスーツ姿で登場し、伸びやかに一曲目を歌い終わった後、「“令和にこだまするやまびこボイス、二見颯一です。会場に来てくださった方も、ご自宅でネットで参加してくださっている皆さんも、今日はたくさん楽しんでいってください!」と、元気いっぱい挨拶。
この日は、感染対策が徹底され、客席も約30席に限定されたが、35度近い猛暑にもかかわらず、熱心なファンが手に手にペンライトや手作りグッズを持って集まった。

 

2曲目からは『颯2』に収録された3曲のカバー曲が続く。
まずは二見自身、大ファンだという三橋美智也の『古城』。歌う時はいつも、その曲のイメージを大切にするという二見。
「古城は立派なお城というより、石垣も崩れてしまったような城跡のイメージ。兵どもが夢の跡、じゃないですけど、そこにあったであろう歴史や物語を感じながら歌っています」と解説してくれたとおり、じっと聴いていると、古の映像が浮かんでくるような歌唱だった。
続いて披露したのは「昔、近江俊郎さんが紹介されている番組で見やとき、この曲が流れているのを聴いて衝撃を受けた」という昭和の名曲『湯の町エレジー』
「近江さんのオリジナルを聴くと思ったよりテンポが速いんです。だいたいの方は情景が浮かぶようにゆっくりなテンポで歌われることが多いんですが、僕は近江さんのオリジナル音源と同じテンポで歌っています。少し速いかなとも思うんですが、このテンポだからこそ、伊豆のちょっと寂しい感じの情景なども表現できるんじゃないかと感じました。勝手になんですが、近江さんのオリジナルを歌い継いでいく責任みたいなものを感じながら歌っているので、そういう気持ちが歌に出ているんじゃないかと思います」
カバー収録曲の3曲目に選んだのは、千昌夫のヒット曲『星影のワルツ』
大好きな曲でどうしても収録したかったというが、この曲には思い出もあるようで、「デビュー1年目の時に千昌夫さん、水前寺清子さん、事務所の先輩の出光仁美さんと、北海道のイベントのお仕事でご一緒させていただいたことがあるんです。夏祭りのイベントで野外だったのですが、夜、星がきれいで、そこで千さんが歌われた『星影のワルツ』がそれはもう、素敵だったんです。舞台の袖で聴きながら、いつか僕もこういう歌を歌えるようになりたいと思ったのは今でも忘れません」

そして『颯2』収録曲に続けて歌ったのは、平浩二の『バス・ストップ』。二見は以前あるインタビューで「低音を強化した」と答えていたが、その言葉どおり低音のパートにも力があって、安定感が感じられた。
続けて歌ったのは、敏いとうとハッピー&ブルーが1972年にヒットさせたムード歌謡『星降る街角』。二見の明るいキャラクターに良く合っていて、聴く側をウキウキした気分にさせてくれる。
どちらもデビュー前に、宮崎時代の師匠・宮地宏一がよく歌っていた曲で、「そのイメージが今も残っているので、師匠の歌い方に似ているかもしれません」と、レッスン生時代を思い出して懐かしそうだった。ライブ終了後に、感想を聞かれて、「カバー曲は、先輩方の歌が先にあって、それを聴かれるのも演歌大好きなファンの方たちなので、僕の歌い方や表現方法がどう伝わるのか不安もありましたが、でも自分らしく歌えたんじゃないかと思います」とホッとした様子で答えていた。

ライブはここで、感染対策のための換気タイムも兼ねて休憩。約10分の後、ミントグリーンの“二見グッズTシャツ”に着替えて表れた二見。ここからはマネージャーを相手にトークコーナーで盛り上がった。
『颯2』の制作秘話を振られると、「今回のミニアルバムは第1弾の『颯』と同じ構成。シングルとそのカップリング曲、カバーが3曲、そしてミニアルバムのために書いていただいた2曲の計7曲の構成です。今回のカバー曲3曲は、デビュー前に水森英夫先生の下で練習していた曲です。実は当時、『星影のワルツ』は苦手で、先生から『二見にはこの曲はまだ早いな』って言われたことがありました。今回、ミニアルバムに収録するので、もう一度稽古させてくださいってお願いして聴いていただいたら、『これならいいだろう』と言ってくださって。デビューしてお客様の前で歌うようになって、知らないうちに成長できたのかもと思いました。収録した7曲は、一曲、一曲ぜんぜん違った雰囲気の曲。演歌という括りの中でそれぞれ違った分野の曲なので、これまでの僕とはまた違った一面をお見せできる一枚になっていると思います」とアピール。

トークコーナーの後、再度の換気タイムを挟んで後半は、これまでリリースされたシングル曲や『颯2』に収録するのために書き下ろされた2曲など、二見のオリジナル曲で構成。
前半とは打って変わって、粋な着流し姿で登場した二見、後半の1曲目は、『刈干恋歌』、続いて2021年2月にリリースした新曲『修善寺の夜』のカップリング曲『若竹』を熱唱。「すがすがしくて、夏に聴くのにぴったり」という『若竹』は、二見の伸びのある“やまびこボイス”がはまって、耳に心地いい。

続いては「僕にとっては大事な大事なデビュー曲」という『哀愁峠』
「この歌を歌っているときは故郷を出てから3年くらいでしたが、気づけば歌詞と同じもう5年。やっと『哀愁峠』が僕にぴったりになってきました」とMCで軽く笑いをとった後、「でもこの曲を歌うと、デビュー当時にいろんな方に力になっていただきながら頑張っていたことが浮かぶんです。PVやジャケットの撮影、レコーディングの緊張感、そういった当時のことが頭の中でぐるぐる回って、時々、歌いながらウルっときちゃうこともあるんですけど、グッとこらえて歌っています」というデビュー当時の回想に、客席もうなづいていた。

この日の10曲目と11曲目は『颯2』のための書下ろしオリジナル『昭和恋月夜』『江戸辻売り小唄』
「『昭和恋月夜』は、ひと昔前の雰囲気の曲で、最初なかなかイメージが湧かなくて手を焼いたんですが、水森先生や作詞家の菅麻貴子先生から『二見くんは平成生まれで令和のデビューだけど、昭和の香りがするという人もいると思うから、感じたままで歌いなさい』とアドバイスをいただきました。恋の歌なんですが、未練があって、なかなかその気持ちから離れられないというようなマイナスの気持ちじゃなくて、『そういう人もいたな、なかなか踏み切れなくて恋は実らなかったけれど、いい思い出として残っている』といような昭和の時代に紡がれたひとりの人間の物語を歌うイメージを持っています」


そして、『颯』に収録した『ところがギッチョン恋之介』に続く時代物第2弾の『大江戸辻売り小唄』を披露。ここでマネージャーがステージに持ってきたのが手ぬぐい。歌の主人公が瓦版売りなのにちなんで、頭に手ぬぐいの被り物を乗せて、粋な江戸っ子を表現。時代歌謡の歌詞の中に「ビッグニュース」「号外」なんて言葉も登場して、ユニークな一曲に仕上がった。
MCでは『本日、初お目見えになりましたのは、今、若竹のように成長中の演歌歌手、二見颯一。そのセカンドミニアルバム『颯2』、ここ江戸にかの声、こだまするか、こりゃてーへんだ』という瓦版に見立てた口上も飛び出し、大いに盛り上がった。

そしてライブはいよいよ、ラスト。
最後を飾ったのは新曲『修善寺の夜』。これまでの望郷演歌とは変わって、結ばれなかった恋を、一人修善寺で想う男の気持ちを歌った恋の歌で、情感たっぷりに歌い上げて、90分のライブはここで終了。
「本日は発売記念イベントに参加していただき、ありがとうございました。ネットで参加してくださった皆様も楽しんでいただけたでしょうか。少しでも皆様に元気を届けられたならいいなと思います。いつかコロナが収束したら、この会場で盛大なイベントを開催したいですし、全国各地にもお邪魔したいと思います。47都道府県、全部を巡れるように頑張ります」と挨拶を残して舞台を降りた。

ところが会場のファンは一人も立ち上がらず、手拍子を揃えてアンコール。
数分後、再びTシャツと白のパンツ姿に着替えて登場した二見は、「これからも皆様にご恩返しができるように頑張って、演歌を歌い継いでいきます。どうか見守っていていただければうれしいです」とファンへのメッセージ。
アンコールの最後は『ところがギッチョン恋之介』を元気に軽快に歌って、90分の熱いライブに幕を降ろした。

 

 

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