【五木ひろし、山内惠介コメントあり】『新・BS日本のうた』公開収録潜入!福田こうへい等ベテラン勢&初出場歌手の夢の共演を見逃すな!
新型コロナ感染拡大のさなかにも、演歌・歌謡界では未来に向けて新たなスターの発掘に勤しんできた。とは言え、若手歌手にとって全国キャンペーンに回れないのはもちろん、テレビ界全体として歌番組が減っている現状で、さらにゲスト出演者の数を減らさざるを得なかったこの時期は、もどかしいことも多かったはずだ。
そんな状況の中、若手、ベテランを問わず演歌・歌謡曲勢を応援しようという姿勢で番組作りに臨んでいるNHK『新・BS日本のうた』(毎週日曜日19:30~/NHK・BSプレミアムほか)は、若手歌手にとって飛躍のチャンスをつかめる格好の番組といえるだろう。
それだけに「先輩歌手が後輩を強力サポートする」企画が盛り込まれた12月5日放送回の『新・BS日本のうた』で、番組初出演をつかんだ6人の意気込みはひとしおだったはず。もちろんあまたいる逸材の中から選ばれた6人だけに、演歌界の未来を担う新星であることは間違いない。
番組収録後には五木ひろし、山内惠介がインタビューに応じてくれた。この2人のコメントを交えながら、番組の見どころを紹介したい。
神奈川県・伊勢原市民文化会館で収録されたこの日、ステージにまず登場したのは小林幸子、美川憲一、野口五郎、山内惠介、福田こうへい。そしてずらり並んだ人気歌手たちの真ん中には、今年デビュー50周年を迎えた五木ひろし。
その長きにわたる歌手人生を、五木は「継承と挑戦」をテーマに歩んできたと語る。事実、近年は自らの舞台に積極的に若手を起用するなど、次世代支援に尽力しているのはよく知られているところだ。
「僕が今こうして歌っていられるのは、”歌謡史”という歴史を先輩たちが繋いできてくれたから。まだ100年と少しの短いこの歴史が、これから歌舞伎のような日本の伝統文化に育っていくためにも、”歌謡史”のバトンをしっかりと次の世代に継承していくのが、僕の役目だと思っています」(五木)
加えて「もちろん新しいことは大好きだし、これからもチャレンジは続けていきますよ」とニッコリ。その意欲的なコメントの通り、この日のオープニングを盛り上げた『VIVA・LA・VIDA!~生きてるっていいね!~』は、70歳にして新たな世界観に挑戦したラテン調の人生讃歌。歌と共に見せる軽快なステップは、これから登場する新人たちにも負けない生命力に満ち溢れていた。
前半の番組名物コーナー「古今東西名曲選パート1」では、この五木の『VIVA・LA・VIDA!』に続いて、山内惠介&福田こうへいを従えた小林幸子による『もしかして-PARTⅡ』という豪華コラボ、野口五郎『私鉄沿線』、美川憲一『柳ヶ瀬ブルース』、山内惠介『さらせ冬の嵐』、福田こうへい『峠越え』、小林幸子『とまり木』と、出演歌手たちが珠玉のオリジナル曲を披露した。
昨年デビュー20周年を迎えてなお”貴公子”の佇まいが健在の山内も、この日の放送回ではもちろん「先輩歌手」の側だ。
「とは言っても、これだけのベテランが揃った中で、僕なんかせいぜい”ベランダ”ですよ(笑)。だけど先輩と歌わせてもらっても、緊張よりも楽しめるようになったのは20年間も無駄じゃなかったということですね」(山内)
そう山内がコメントするように、この日、番組初出演をつかんだ歌手たちにとって、『番組初登場! 期待の新星うたの共演!』コーナーは実にドキドキするものだったはずだ。企画は先輩/後輩が1組となって登場し、デュエット曲と初出場組のオリジナル曲を披露するという趣向。
山内が紹介するのは2020年デビューの北海道出身、現役大学生の戸子台(とこだい)ふみや。2人で披露する北島三郎の『なみだ船』に、山内自身も「とても難しい曲。それを新人ながら堂々と歌いこなせるなんて、歌謡界は安泰です!これからさらに盛り上がっていくと思います」と、とても刺激を受けた様子。戸子台の新曲『泥酔い酒』の若さと勢いに溢れた歌唱にも、注目だ。
野口五郎は山形弁カバーソングが話題のシンガーソングライター・朝倉さやを紹介。山形なまりの『私鉄沿線』をワンフレーズ披露する朝倉に、「一気にローカル線の雰囲気になったね」と吹き出す野口。そんな和やかな雰囲気のまま、2人で『愛の奇跡』(ヒデとロザンナ)、そして朝倉が家族の暖かさを綴る『おかえり-manzumamake-』を披露。ちなみにmanzumamakeとは、山形弁で「まずはご飯を食べて」という意味だそう。
美川憲一は茨城出身の22歳・木川尚紀を紹介。「”川”が付く歌手はスターになるのよ!」と美川が自論で太鼓判を押すと、デュエットでも曲名に川の付く『酒場川』(ちあきなおみ)をチョイス。その後、農家育ちという木川がデビュー曲『泥だらけの勲章』を力強く歌い上げた。
そして番組は中盤へ。感染対策を万全にして臨んだ今回の公開収録、換気タイムを挟んで「古今東西名曲選パート2」から再スタート。
福田こうへい『母恋吹雪』(三橋美智也)、野口五郎『さらば恋人』(堺正章)、山内惠介『無法松の一生~度胸千両入り~』(村田英雄)、美川憲一『アカシアの雨がやむとき』(西田佐知子)、小林幸子『二人でお酒を』(梓みちよ)といった歌謡史を彩る名曲の数々を出演歌手たちが歌い継ぐコーナーだ。
前述のコメントにもあったように、”歌謡史”を強く意識している五木は、一視聴者としても『新・BS日本のうた』のファンなのだという。
「僭越ながら昭和の歌謡史については、僕は誰よりも詳しいマニアだと自負しています。だから『新・BS日本のうた』でピックアップされる曲はいつも本当に楽しみ。大ヒットはしなかったかもしれないけれど、それでも“いいなあ”と思う曲って、まだまだいっぱいあるんですよ」(五木)この日「古今東西名曲選パート2」で五木が歌うのは、青木光一の『男の友情』。昭和31年、船村徹が若くしてこの世を去った親友の作詞家・高野公男を思って作曲した曲だが、たしかにほか歌手が歌ったラインナップに比べると知る人は少ない曲かもしれない。
「誰もが口ずさめる懐かしい曲はもちろんだけど、意外に知られてない昭和の素晴らしい曲を新鮮にお届けする。その意義は”歌謡史”を継承するためにますます大きくなっていると思うし、その点でも『新・BS日本のうた』の選曲はいいセンスしているなと思いますね」(五木)
番組も後半戦。『番組初登場! 期待の新星うたの共演!パート2』のトップバッターを務める五木が紹介するのは、今年5月にデビューしたばかりの白雪未弥。2人で歌うのは、五木が数々の女性歌手と歌ってきたデュエットの名曲『居酒屋』。そして白雪がじょんがら三味線も印象的な『どうだば津軽』を歌う。自らも三味線の奏者である五木は、収録後インタビューで「今度は彼女の後ろで弾きたいね」とさらなる応援を誓っていた。
福田こうへいは、大阪出身・31歳の坂崎守寛を紹介。民謡出身でサラリーマンを経てからデビューしたという坂崎に、似たようなルーツを持つ福田は「他人とは思えません!」と大プッシュ。民謡界のレジェンド・三橋美智也の『おんな船頭唄』を2人で、そして坂崎は義理人情を歌った『浪花の若大将』を熱唱。
企画のラストを務める小林幸子が紹介するのは、2度目のデビューで再起をかける美貴じゅん子。1996年にデビューするもヒット曲に恵まれず、一度は歌手を断念したこともあるという美貴に、自らも不遇の時代を味わっている小林が「歌にかける気持ち、痛いほどわかります。だから諦めないで」と優しく背中を押す。2人で歌うのは島倉千代子の『からたちの花』。そして美貴がデビュー25周年の勝負曲『土下座』を披露。大きな拍手を浴びていた。
そして番組もいよいよフィナーレ。約2時間にわたった公開収録のステージを締めくくったのは、美川憲一が持ち味である深く響く歌声で生きる喜びや明日への希望を歌う新曲『こころに花を』、そして五木ひろしが作詞家・阿久悠、作曲家・船村徹の残した未発表曲を両巨星の家族から託されたという新曲『新宿満月』。五木のダンディズム匂い立つ歌声と、ステージを煌々と照らす月の演出のマッチングの見事さに、客席からは拍手が止まらない。
収録後、山内惠介はコロナ禍においても無観客ライブなどに積極的に取り組んできたからこそ、観客の前で歌えることのありがたさを、改めて噛み締めているところだと、こんな思いを話してくれた。
「この番組は音合わせ、リハーサル、そして収録という流れで、出演者は1日に同じことを3回やるんですが、どの歌手もやっぱり本番が一番いいんですよ。これは出演しているからこそわかることで、誰もがここ一番の歌を届けようという思いでやっています。それはやはりお客さまが目の前にいるということが大きい。僕たち歌手はお客さまに鍛えられ、育てられて、時には失敗もしながら成長させてもらう。それがすべてなんです」
感染拡大防止のため、ホール収容人数を半数に抑えた収録。また今はまだ声援も憚られるところだ。
それでもこの間、オンラインでPR活動することも多かった新人たちにとって、目の前の観客に向かって歌うこと、そして先輩のサポートを借りつつ拍手を受けたこの番組での経験は大きな一歩となったはず。
歌謡界の新しい時代を予感させるこの日の放送を、ぜひ目撃してもらいたい。
「新・BS日本のうた」放送情報
NHK・BSプレミアム
2021年12月5日(土)19:30~ほか
レジェンド&中堅歌手が圧巻の大熱唱!幸子は山内&福田をしたがえゴージャスなステージを披露。番組初登場のフレッシュな歌手6名が、大先輩とのドキドキのコラボに挑戦!
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