石川さゆりがNHK「tiny desk concerts JAPAN」でfox capture planと初共演、収録と取材の模様を独自レポート! 「日本の粋なものを世界にお届けしていきたい」

2025.5.27

歌手の石川さゆりが、6月2日(月)放送のNHK「tiny desk concerts JAPAN」に出演する。今回うたびとは、NHKのオフィスの一角で行われた収録現場に潜入! 収録と囲み取材の模様をお届けする。

米公共放送のNPR(ナショナル・パブリック・ラジオ)が2008年よりインターネット上で放送を開始した音楽コンテンツ「tiny desk concerts(タイニー・デスク・コンサート)」「オフィスの小さな机」という名の通り、世界で活躍する豪華アーティストがオフィスの一角でパフォーマンスを披露する番組で、ありのままの臨場感あふれるサウンドと、アーティストと観客とのつながりが感じられる親密な雰囲気から、瞬く間に全世界でブームを巻き起こした。

NHKは、NPRよりライセンス供与を受け、日本を代表するアーティストが出演する「tiny desk concerts」の日本版を、2024年3月から制作・放送中。国内のみならず、国際放送「NHK WORLD」では160カ国に向けて放送している。今年4月に始動したシーズン2の第1回には、シンガーソングライターのASKAが出演した。

そして第2回となる今回は、日本の音楽界を代表する歌手の石川さゆりが登場。会場となったNHKのオフィスの一角は、書類ファイルや本が並ぶ棚に「どーもくん」NHKから生まれたキャラクターたちの人形が飾られ、遊び心あふれるポップな空間に。会場には約200人のNHKのスタッフが詰めかけ、開演前から熱気に包まれた。

収録開始時刻になると大勢のスタッフに出迎えられ、和テイストのドレスを着た石川が登場。バイオリン・チェロ・ピアノの演奏で代表曲『津軽海峡・冬景色』を熱唱、「この番組はすごくワクワクする番組です。お客さまの顔がこんなにハッキリ見えて、オフィスで歌うのは初めてです。もちろんエンターテインメントとしてステージで歌うというのも楽しいですが、歌というのは皆さんの生活の中にあって、皆さんの思い出になったり、元気になったり、隣に寄り添ったり、そういう身近なものだと思います。今日は皆さんに元気をお届けできれば」とあいさつ。

続く2曲目に披露したのは、石川が居酒屋のママ役で出演した映画「PERFECT DAYS」の劇中で歌唱した『朝日楼』。小芝居を交えながら気迫あふれるパフォーマンスを披露し、観客から割れんばかりの拍手を浴びた。

その後、チェロとギターによるアコースティックバージョンで、歌芝居『飢餓海峡』へ。冒頭から見事なセリフ回しで観客を物語に引き込むと、切なげな表情を浮かべながら鬼気せまる女性の情念を歌い上げた。

ジャズロックバンド・fox capture planと共演

「tiny desk concerts JAPAN」は、アーティストがその日限りのセットリストと特別なバンド編成に挑戦するとともに、アーティスト同士が共演する貴重なステージを披露する。今回は、石川さゆりと3人組ジャズ・ロックバンド、fox capture planのコラボレーションが実現した。

fox capture planは、現代版ジャズ・ロックをコンセプトにする人気急上昇中のピアノ・トリオ・バンド。生田絵梨花主演のNHK特集ドラマ 「天城越え」をはじめ、話題のドラマや映画の音楽を担当するなど、目覚ましい活躍を見せている。

ピアノの岸本亮「fox capture planと申します。海外版tiny desk concertsを見ていたので、出てみたいなと思っていたら、こんなに早く出演できてうれしいです。しかも今日は、憧れの石川さゆりさんと共演できて光栄です」とあいさつ。

石川は、3人の緊張を解きほぐすようにトークを交わしてから、fox capture planとともに現代風ジャズにアレンジされた童謡『ずいずいずっころばし』を披露。続くfox capture planのオリジナル・インスト曲『エイジアン・ダンサー』では、リズミカルなピアノの即興ソロが観客の体を揺らす。舞台袖で演奏を見ていた石川も軽快なビートに合わせ、楽しく踊り出す場面もあった。

ステージのラストを飾ったのは、石川さゆりの代表曲の一つである『ウイスキーが、お好きでしょ』fox capture planの演奏とバイオリン、チェロが奏でるスロー・ジャズアレンジも相まって、その雰囲気はまるで高級ホテルのラウンジバーにいるかのよう。最後まで、ムーディーなサウンドで観客を酔わせ、約40分という短い時間でありながらも記憶に残る唯一無二のステージを生み出していた。

fox capture planと初共演「新しいファッション(アレンジ)でどう歌えるのか楽しみでした」

石川さゆり

収録後に行われた囲み取材で、石川は「何年やっていても新しいことっていうのはあるんだなと思いました。今日はワクワクしてすごく楽しかったです。最近、アコースティックがとっても楽しくて、大きいコンサートホールだけじゃなくて、数人のメンバーでもやったりもしますが、こういう皆さんが働いていらっしゃる職場で歌うというのはすごく新鮮でした。
でも、私たちの歌っていうのは、そうやって暮らしている、働いている皆さんの生活の中に流れているわけですから、皆さんの働いているお顔を見ながら歌ってみたら、楽しんでくださっている方や、うんうんって頷きながら聞いてくださる方もいらっしゃって。オフィスですからステージと違って明るいですよね。皆さんの手元や、一番後ろの方の顔まではっきりと見えました。こういう歌の届け方もあるんだなと感じました」と感想を語った。

そして、今回のセットリストについて「私の音楽仲間と作る音楽、石川の今までやってきた世界観、それが伝わるような構成になりました。『ウイスキーが、お好きでしょ』もfox capture planの皆さんとやることで、全然違うアプローチができました。『ウイスキーが、お好きでしょ』は、いろんな方がカバーしてくださっていますが、アレンジというのもファッションなんですね。ですから、新しいファッションでどう歌えるのかな、と楽しみでしたね」と明かす。

また、fox capture planとの初共演については、「最初は、ご一緒したことのない皆さんなので、どのようにリズムを取りましょう?って思いましたけど、お家に帰って聴いているうちに『あぁ、心地いいな。こういう音楽ってあるんだな』って思って。
番組の中でもお話ししましたが、先週ニューオーリンズ(『朝日楼』の歌の舞台)にたまたま行ってきたんですね。そしたら、ニューオーリンズという街は、いろんな人種の方、そしていろんな肌の色の方たちが暮らしていて、音楽がものすごいんです。それも街角で太鼓だけでやっている人もいれば、トランペットやトロンボーンをこんなに力強く吹くんだっていうブルースもあれば、教会に行ったらゴスペルもあるし、ジャズももちろんメッカだし、本当に選り好みしていないなって思いました。今、自分の体が何を欲しがってるのかというのをいっぱい楽しんでみたいと思いながら帰ってきたところだったので、今日はとっても楽しかったです」と笑顔で話していた。

さらに、オフィスの一角で歌唱するにあたり、工夫した点を聞かれると「私はあまり考えてこないですね。今回ではなく以前の出来事になりますが、リハーサルで喉が乾燥して、声がすごくガサガサになったことがありました。でも、そのガサガサの声が自分の声としては面白くて、今とは全然違う歌い方をしていました。歌はこうでなきゃいけないっていう決まり事はないような気がするんですね。新曲の場合は皆さんにまだなじみもないし、CDの形でお届けしなければと思いますが、私はその時の瞬間の空気感というのを歌うようにしています」と明かした。

「日本の粋なものを若い世代の皆さんと世界にお届けしていきたい」

今回、世界の視聴者に向けてアメリカ民謡(『朝日楼』)と日本の童謡を披露したことについて「今日は『わらし』というアルバムの中から、『ずいずいずっころばし』を歌いました。やはり海外に来ていろんなエンターテインメントを見たり、音楽を聴いた時に、自分のアイデンティティーを大切することが一番大切なことなんだなと思いました。でも、それをそのまま歌っても、皆さんは『なんだろうね、これは』と思うので、そこにやはりいろんなファッション(アレンジ)をまといながら、日本の良きことを届けたいって思いますね。ですから、私は民謡やどどいつ、端唄をアルバムにまとめたりしています。そういういろんな粋なものを若い世代の皆さんと世界にお届けできたらいいな」と語っていた。

「NHKのオフィスの一角」というこの番組ならではの独特な空間で、彩り豊かな歌声を惜しげもなく披露した石川さゆり。今回の収録内容は、6月2日(月)0:25〜0:54にNHK総合で放送される。fox capture planと共演したスペシャルステージをぜひお見逃しなく。

石川さゆり

石川さゆり・fox capture plan出演「tiny desk concerts JAPAN」

放送日時:
6月2日(月)
0:25-0:54
※日曜深夜

放送局:
NHK総合

出演者:
石川さゆり
fox capture plan(岸本亮、カワイヒデヒロ、井上司)

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