音のヨーロー堂店主・松永好司のこれを聴け!~西田あい~
移り変わってゆく街の風景。
当店のある街、浅草。
私はここで生まれ、ここで育ちました。
もう、50年……。
戦後全盛を誇った映画館通りに映画館がなくなり、近所の風景もずいぶんと変わりました。
でもそれは徐々にであって、いきなり!というのはあまり感じてはいませんでした。
私は淺草の喧騒が苦手で遊びに行くのは地元の言葉で俗にいう【川向こう】という所。
それは、すぐそこの吾妻橋を越えた【すみだ】でした。
【すみだ】というところは人々の生活の息吹が聞こえるとても親しみやすい街で、小さなもんじゃ屋さんがあったりおじいちゃんが揚げてくれるコロッケ屋さんがあったり、まさに下町人情あふれる、という表現がぴったりの街なのです。
東京タワーに続く第2の電波塔計画が発表され、その候補地が【すみだ】になって期待の未来に歓喜したのはもう20年近く前だったかな……。
そして、東京スカイツリーは下町の希望になり、今やたくさんの人で賑わっています。
しかし【すみだ】は今、開発の波にのまれていて、商売を辞めたり区画整理にあったりして、その地を離れていく人も多く、出掛けるたびに街の姿が変わっていくのを日々感じるのです。
そんな、ノスタルジーに浸っていると思い出すのがこの歌……
西田あいさんの『最後の頁』
この楽曲の企画段階で事務所の方から楽曲のコンセプトを教えてもらうのと同時に「PV撮影のできる昭和でレトロな雰囲気の喫茶店ありませんか?」との相談をうけたのです。
昔、J:COMすみだのグルメ番組でレポーターをしていた私の大得意分野!
【すみだ】隅々の飲食店情報には自信があったので、ここは!というとっておきの、雰囲気の良いお店を紹介させていただきました。
そして出来上がったのがこのPVです。
このPVを観た私はあまりにも感動して……泣いてしまった……。
ドラマ仕立てのこの映像。
若い二人が夢や希望をもって上京して、その夢が破れてしまって……。
自分にもそんな思い出あったなあ……って。私のあまりのわがままぶりに愛想を尽かした当時の彼女のことがフッっと頭をよぎって……。
そしてあいちゃんの歌声がそんな哀愁をより一層引き立てるのです。
これってPVというより短編映画のようです。
そんなこの喫茶店もついこの間、区画整理にあって今や後も形もありません。
あのお話好きなマスター、美人なママさん、元気かな?
今でもこのPVを観ると自然と泣けてきます。
そんなあいちゃんがこのあいだ新曲『My Story』の予約キャンペーンで来てくれました!
鹿児島訛りがとってもあたたかくて本音トークもめっちゃ楽しい!
それでいて歌をしっとりと聴かせるのです……。
今度の楽曲はポップなメロディーの人生応援ソング。
これまで頑張ってきたあいちゃんならではの心強さに勇気づけられます。
あいちゃんと初めて会ったのはデビュー間近のころで場所は浅草花やしき。
平尾昌晃先生にご挨拶させて頂いた時、隣にちょこんといた、りんごみたいなほっぺで目がキラキラした女の子でした。
いまやスター性、貫禄さえ備えた稀代の歌姫。
平尾昌晃先生の遺志を継ぎ、昭和の流行歌や歌謡曲を歌い継いで頂きたいです。
ちなみになんですけど、愛想尽かされてフラれた彼女は今の妻です(>_<)
音のヨーロー堂
〒111-0032 東京都台東区浅草1-3-6(雷門から8軒目)
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営業時間:10:30~17:30 木曜定休
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