市川由紀乃 新曲『都わすれ』リリースと座長公演成功で絶好調! 「平坦な道ではなかったからこそ、今こうして幸せに歌っていられます」

2022.3.25

歌手・市川由紀乃が新曲『都わすれ』で2022年を発進した。持ち前の艶やかな歌声で悲恋や情念を多く歌ってきた市川だが、本作で綴られるのは愛する人と手を携えて生きていく覚悟をした女性の物語。歌詞のモチーフである可憐な花のような小さな幸せを微笑みとともに届けている。また彼女は、この2月に大阪・新歌舞伎座で座長公演を終えたばかり。埼玉県出身の市川が、意外にも大ファンと公言する吉本新喜劇との共演と、今の時期にお客様に「笑い」を届ける素晴らしさについても語ってもらった。


──新曲『都わすれ』は、『なごり歌』、『秘桜』という2作のヒット曲に続く作詞・吉田旺、作曲・幸 耕平のタッグです。まずはその感想からお願いします。

うれしかったですね。私は物事を重ねていくことにとても意味を感じるので、素晴らしい先生たちからまた1つ大切な歌をいただけたという気持ちで胸がいっぱいになりました。前作もそうでしたが、吉田先生の歌詞はまるで短編映画のようにドラマティック。ほんの短い言葉からその女性の表情や心持ちが浮かんでくるので、歌っていてスッとその世界に入っていけます。

──『都わすれ』は同じ名前の花になぞらえて、東京を捨て、愛する人と新たな暮らしを始める女性の心情が描かれています。

私にしては珍しく幸せな女性の歌です(笑)。吉田先生からは『微笑みながら歌ってくださいね』とアドバイスをいただきました。と言っても、『幸せだけじゃないところが私らしいのかも?』とも思いました。歌の主人公の女性は、この先、人生の大きな荒波に揉まれるかもしれないですよね。それでもこの人と一緒ならきっと乗り越えられる、そんなふうに幸せを追い求めるひたむきな姿に惹かれます。

──ご自身と重ね合わせるところはありますか?

そうですね。私の歌手人生も平坦な道ではなかったからこそ、今こうして幸せに歌っていられます。幸せって簡単につかめないからこそ、尊いんでしょうね。それこそ人生の最後に目を閉じる瞬間、『ああ、幸せだった』と満足できればいいなと思うこともあります。

──市川さんも幸せを追い求めている途中ですか?

お客さまからたくさん幸せをいただいてはいますが⋯⋯まだ途中かもしれません(笑)。でも私はこの曲の女性ほど可愛らしくはないので、サビの『この手を離さないで』という意味の言葉は絶対に言えないだろうなって(笑)

──本当に、歌詞がけなげでいじらしくてキュンとしました!

ですよね。もともとこの曲は曲を先に作る“曲先”でした。ただ、吉田先生の歌詞が上がった後、幸先生はサビのメロディを、歌詞に合わせて何度も書き直されたそうです。佐藤和豊先生の劇的なアレンジも含めて、先生たちがこの歌の女性の可愛らしさを存分に生かそうとされていたように思います。

──シングルは通常盤のほかに「由紀乃の夢盤」も発売。こちらのカップリングには吉本新喜劇の座長・川畑泰史さんとのデュエット曲『運命と呼ばせて』が収録されています。

大阪で出会った男と女の歌です。こんな時期なので別々に歌って編集するという案もあったのですが、感染対策を万全にして一緒に大阪でレコーディングすることができました。やっぱりデュエットは、隣にお相手がいるのといないのとでは気持ちの入り方がぜんぜん違いますね。川畑さんの響きのいいお声に合わせて心地よく──。でもレコーディングの合間に川畑さんがボケやツッコミを入れてくださっていたので、歌っている時間よりも笑っている時間のほうが長かったかもしれません(笑)

──大阪・新歌舞伎座で行われた座長公演で吉本新喜劇と共演されましたが、これは市川さん自身のアイデアだったとか?

はい。もともとは違う演目が予定されていたんですが、みなさんに日常を忘れて思いっきり笑っていただきたくて。また、私が吉本新喜劇の大ファンで、いつか共演したいと狙っていたところもあります(笑)

──埼玉出身の市川さんと吉本新喜劇の出会いは?

デビュー当時、キャンペーンで大阪に行ったとき、ホテルのテレビでたまたま観たんです。いろいろと不安でいっぱいだったあの頃、笑って泣けて最後にまた大笑いさせてくれる吉本新喜劇に本当に救われて──。今もDVDやYouTubeチャンネルなどでよく観ています。

──座長公演の第一部「娘の夢は母の夢」で演じたのは歌手を目指す女の子。物語には市川さんとお母さまの実話も盛り込まれたそうですね。

作・演出の徳田博丸先生が座長公演の記者会見に同席してくださって、そのとき私が語った母との思い出を台本に書いてくださったんです。母役を演じた浅香あき恵さんのセリフに毎回泣けてしまって、お芝居がいらないほどでした。

──喜劇を演じていかがでしたか?

難しかったです。だけどそれ以上に楽しかった! 座長公演をさせていただくだけでも光栄なことなのに、映像でずっと楽しんできた吉本新喜劇のみなさんの鉄板ギャグが目の前で展開されて、これは最高のご褒美だと思いました。笑ってはいけないので堪えていましたけど、千秋楽だけはお許しいただき、思いっきり笑ってしまいました。お客さまもマスク越しに笑っていらっしゃるのがわかって、『喜劇ってやっぱり素敵だな』と公演が終わるたびに幸せな気持ちになりましたね。

──第二部はお待ちかねの歌謡ショーで、数々のヒット曲や川畑さんとのデュエットに続き、今回は「シャンソンの世界」を披露されました。

シャンソンはいつか歌ってみたいと思っていましたが、私にはまだ早いかもしれないとためらっていました。だけどせっかく座長公演という場をいただいたからには、少し背伸びをしてでも挑戦する意味はあると、『愛の讃歌』『ろくでなし』『ラストダンスを私に』を歌わせていただきました。

──多くの歌手が歌ってきた名曲ばかり。市川さんはどのように表現されたのでしょうか。

シャンソンの歌詞にはどん底の絶望が描かれているものが多いですよね。それでも凛として前を向いて歩いていく、奥深くて劇的な女性のドラマに、ここ数年歌ってきた吉田旺先生の歌詞に通じるものがあると気付きました。今、座長公演でシャンソンを歌うチャンスをいただいたのも、幸運な巡り合わせだったと思います。シャンソンのスケールの大きさは、歌手として歌っていて純粋に気持ちが良くて、1曲歌うたびにこのまま緞帳が降りてもいい……と思うくらい歌の世界に入り込みました。

──ファンとしては「いやいや、もっと聴かせて!」とツッコミも入りそうですが(笑)、市川さんの持ち歌もたっぷりの見応えのあるステージでした。

第一部では思いっきり笑っていただき、第二部ではいい意味でギャップを感じていただけたらという思いを込めて選曲しました。座長公演はこれが2度目で、まだまだ“座長”と胸を張れるほど、共演者やスタッフのみなさんを引っ張っていけたとは思えません。しかも今は、お食事会などで共演者が触れ合うこともできず ⋯⋯それでもみなさんとは、稽古中から毎日、グループLINEでやりとりをしていました。『人間というのはどんな形でも絆を深めていくことができるんだな』と、こんな機会だからこそ、しみじみ実感できた座長公演でしたね。

──では最後に、ファンのみなさんにメッセージをお願いします。

心の奥がどこかじんわりポカポカとする『都わすれ』が私は大好きです。これからの季節、この温かさを全国の隅々までお届けしたいですね。もちろん生の歌で! その機会があったら、ぜひみなさんに足をお運びいただけたらうれしいです。

市川由紀乃『都わすれ』

2022年2月2日(水)発売

品番:KICM-31049
価格:¥1,400

【収録曲】

1.都わすれ(作詞:吉田 旺/作曲:幸 耕平/編曲:佐藤和豊)
2.かげろう橋(作詞:石原信一/作曲:幸 耕平/編曲:南郷達也)
3.都わすれ(オリジナルカラオケ)
4.都わすれ(一般用カラオケ半音下げ)
5.かげろう橋(オリジナルカラオケ)
6.かげろう橋(一般用カラオケ半音下げ)

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