こおり健太がデビュー15周年記念曲『しろつめ草』を発表 「初めて出会えた、幸せな結末を迎えたおんな唄。笑顔で聴いて、歌っていただけたら嬉しいです」

こおり健太
2023.5.17

〝おんな唄〟の名手として演歌界をけん引するこおり健太が、16作目のシングル『しろつめ草』(c/w『恋は上機嫌』)をリリースした。切ない女心を歌い続けてきたこおりが「15年目にしてようやく出会えた」と語る新曲は、誰もが笑顔で聴ける、自身初の〝幸せのおんな唄〟。デビュー15周年を迎えて新境地を拓いたこおりに、新曲にかける意気込みから相棒・ずんだ君との日々まで語っていただいた。


こおり健太

――新曲の『しろつめ草』は、王道のおんな唄というイメージです。最初にお聞きになった時はどんな感想を持ちましたか。

これまでずっと女性が主人公の歌を歌ってきましたが、そのほとんどが切ない気持ちを歌ったおんな唄でした。今回は15周年記念作品ということもあって、このあたりでちょっと幸せになってもいいのではないかということで曲作りがスタートしました。なので、今回の『しろつめ草』は初めての〝幸せのおんな唄〟。大谷先生が歌ってくださったデモ音源を聴いた時は、お客様がにこやかに聴いてくださる情景が目に浮かびました。

――以前、歌詞の裏側にあるストーリーを考えるのが楽しいとおっしゃっていましたが、今回の曲にはどんな物語を思い浮かべていますか。

作詞の麻(こよみ)先生とも話したのですけれど、歌の中の二人は、世間から祝福されない恋をしてきて、今ようやく幸せな世界が開けた。でも、すべての人からおめでとうと言ってもらえる状況ではない。歌の最後で「ようやく咲いた 幸せの白い花」と歌い納めますが、それはまだ二人だけの小さな幸せということなのだと思っています。ただ、この曲はあくまでも幸せになる歌ですから、あえてそこは深く考えないようにしました。考えすぎると切ない歌になってしまいますから。これまでの曲より速めにしたテンポに乗って、楽しい気持ちで歌いました。

――タイトルの『しろつめ草』も、可愛らしくて女性ファンから好感を持たれそうです。

僕自身は、最初に「しろつめ草」と聞いた時は驚いたんです。なぜかって、演歌ですからもっと日本的なイメージの花を題材にすると思うじゃないですか。それがしろつめ草、クローバーですから。表記も僕は〝白詰草〟って漢字にした方が、和のテイストが出て、演歌には似合うと思っていました。でもそれでは硬くなってしまうと。女性の目線から見ると、幸せを表現するのだから、柔らかいイメージで歌ってほしいという声が多くて、『しろつめ草』となりました。

――シンプルな曲だけに、表現するのに難しい曲だったのではないですか。

今回はテンポが速かったので、これまでの曲のように感情を込めて歌い込んでいる時間はありませんでした。だから色を出すという意味ではすごく難しい曲でした。一つひとつの言葉を大切に歌おうと思うのですが、テンポがそれを許してくれないと言いますか、かと言ってテンポをおろそかにすると歌になりませんし。ずっとスローな曲を歌ってきましたので、今回は本当に勉強させていただきました。

――こおりさんの代名詞でもある〝泣き〟も入れにくかったのではないですか。

テンポに追われていますから、そうそう泣いてもいられなくて、その点もすごく難しかったです。大谷先生からは「超えてきました 二人して」のところ、ここは、本当はリズムがしっかり刻まれていて歌い易い旋律なのですが、あえてここで泣いてくれと。テンポを取ってキチンとリズムを刻みながら裏で泣くという、僕にとっては最大の難所でした。とにかく今回はテンポを課題に取り組んだ作品だったと思います。

こおり健太

――カラオケで歌う時は、どんなことに注意して歌えば上手く歌えるでしょうか。

この歌は主人公が幸せになる歌ですから、身体でリズムをとって楽しく歌っていただくのが一番。その上で最後の「幸せの~」のところは聴かせるために、あえてテンポをずらして感情を込めるといい感じになると思います。笑顔で楽しく歌ってください。

――カップリングの『恋は上機嫌』はガラリと趣が変わって明るい歌謡曲調の曲です。歌詞も若い男性の恋心が爽やかに描かれていますね。

この曲の主人公は何というかすごく面白いタイプ。自分の世界に入ってしまっていて、もし僕が友達なら、「本当にその人はあなたの方を振り向いてくれてるの?」って忠告したくなるような。僕は恋には慎重な方ですし(笑)、自分とは真逆の人という感じですね。そんな男の歌ですからレコーディングの時も、もっとはじけちゃっていいよと言っていただいて気持ちよく歌いました。70年代の歌謡曲というイメージで面白く仕上がったと思います。

――おんな唄で泣き節のこおりさんとは違う一面が見られて、ファンも喜ぶのではないですか。

ステージの時にこの曲を入れることで、ファンの方も一息つくことが出来ますし、楽しくていい曲だと思います。これまでの僕の歌は聴かせることがメインでしたから『恋は上機嫌』のような曲が加わると、逆に他のおんな唄たちが引き立ってくるんじゃないでしょうか。

――さて、9、10、11月には15周年記念コンサートという大きな舞台が待っています。今から楽しみですが、どんなステージにしたいですか。

すべてのファンの皆さんに感謝を込めて、久しぶりに再会できたことを喜びあえる時間にしたいと思っています。歌手、こおり健太だけはなく、人間・こおり健太のすべてを皆さんにお届けしたい。今、決まっているのは北海道・宮城・東京の3か所ですが、ファンの皆さんもこの3年間、ずっと待っていてくださったので、今後は、もっともっといろんな場所にも出かけていきたいですね。

――15周年のステージで新たに挑戦しようと計画していることがあれば教えてください。

今度の15周年のコンサートでは、とにかくオリジナル曲を一曲でも多くお届けしようと思っています。というのも、コンサートの後にお客様にお聞きすると、オリジナル曲をもっと聴きたかったという声が一番多いんです。今、オリジナルは37曲あるのですが、どれだけ歌えるか、チャレンジしてみたいですね。楽しみにしていてください。

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――ようやくお客様にステージ上から直接声を届けられるようになってきたわけですが、歌い手としてこの3年間を振り返ってみて今、何を思いますか。

この3年は歌い手としてというより、一人の人間として思うことが多かったですね。これまではスケジュール帳を真っ黒にしなきゃいけないという思いで無我夢中で仕事に邁進してきました。体調がすぐれなくてもやらなくてはって、変な力が入っていたように思います。でももっと人間・こおり健太を大切にしなくては、歌手・こおり健太としてこの先歌い続けることができなくなるかもしれないと気づいたんです。頑張るところと頑張るための時間を作るところのバランスをとることが大事。結局その方がいいパフォーマンスが出来るんですよね。そんなことに気づかされたコロナの3年間だったような気がします。

――そのコロナ禍ではSNSでの配信も積極的におやりになりました。特にYouTubeには力を入れていらっしゃるようですが。

アーカイブに残さない生配信番組をやっています。後でまた見たいという方もいらっしゃいますが、届ける側も見る側も、その時限りの生配信というのもいいんじゃないかと思いまして。歌っておしゃべりして、チャットの書き込みも全部読むようにしています。時々、海外の方がチャットに入ってきて、「これ何語だろう?」なんてこともあるんですよ。〝見えるラジオ〟というコンセプトでやっているのですが、皆さん楽しみに見ていただいているようで、これからも続けていきたいと思っています。

――ラジオといえば、現在もレギュラー番組を3本お持ちですね。

僕はラジオで育ててもらったといっても過言ではありません。特にSTVラジオの日高晤郎さんには本当にかわいがってもらって、ラジオの楽しさも怖さも教えていただきました。日高さんからは「歌手だからといって歌を歌っているだけではダメ。人間・こおり健太の魅力を分かってもらわないとファンはついてこない。だからラジオで何でもいいから口に出してしゃべれ!」って言われたことを覚えています。そうやって育てていただきましたし、イベントにも呼んでいただきました。なので、ラジオは僕の中で今もすごく大切にしているお仕事の一つです。ラジオのレギュラー番組があったから、コロナ禍でもファンの皆様に話しかけることができたし、僕の歌をとぎれることなく届けられた。本当にラジオがあって救いになりました。

――日高さんといえば、こおりさんにとっては芸能界のお父さんのような存在ということですが、実はもうお一人、〝お父さん〟がいらっしゃいますよね。

吉幾三さんのことですね。吉さんは憧れ、目標というほうが正しいかもしれません。ステージを見させていただくと、おしゃべりであれだけ笑わせて、歌に入ったら会場中をホロリと泣かせてしまう。すごいとしか言いようがありません。本当に感受性が豊かですし、だからこそ沢山の人の心を打つ曲を書けるのでしょうね。

――アーティストとしての技量はもちろん、人間としても魅力的ということですね。

僕たち後輩にも気を遣って接してくださいますし、頼りがいがあって、そういう意味ではお父さん的存在と言ってもいいかもしれません。昨年もご自分の50周年トリビュートアルバムに参加した後輩を引き連れて、ショーを開いてくださいました。僕はまだデビュー15年の若手の部類ですが少しずつ後輩もできてきましたし、吉さんの背中をお手本に頑張っていこうと思います。近くに吉さんのような先輩がいることは本当にありがたいことです。

こおり健太

――ところでYouTubeなどを拝見すると、愛犬・ずんだ君も元気に活躍中ですね。今日はずんだ君はお休みですか。

今日は家で留守番してもらっていますが、お許しをいただけるところへはだいたい連れていっています。ラジオの収録スタジオとか、場合によってはステージにも上げています。最近は僕よりずんだが出た方が、お客様の拍手が大きいんですよ(笑)。

――3歳になったということですが、いい相棒に育ったという感じですね。

僕にとっては〝子供〟のような存在ですが、最近はファンの方々もずんだがいつ出てくるんだろうって楽しみに待ってくれていますから、そういう意味では仕事上の相棒でもあるかもしれません。これからもずっと元気でいてほしいです。

――最後にデビュー15周年を迎えられたわけですが、これからの目標をお聞かせください。

宮城県出身の僕としては、仙台の大きなホールでコンサートを開きたいという目標があります。仙台にはアリーナもありますし、これまでたくさんの先輩方がステージを行ってきた場所で、早く僕も歌えるように頑張っていこうと思っています。

――10周年の時は日高晤郎作詞、吉幾三作曲で『歩き続けて…』をお出しになりましたが、今回は何かスペシャル企画を考えていますか。

実は今、DVDを構想中です。僕は今まで映像物のリリースがありませんでしたので、15周年の特別企画としてミュージックビデオ集を出そうかと。若かりし頃のこおり健太から現在の健太まで時間を追って見ていくと、たぶん顔も変わっているのが分かると思いますので(笑)、楽しいと思います。乞うご期待!

――新曲を待ちわびているファンに、改めてメッセージをお願いします。

デビュー15周年にしてようやく幸せな結末を迎えたおんな唄と出会うことができました。皆様も笑顔になれる時間がここにあることを感じながら、この歌とともに〝歌う時間〟〝聴く時間〟を楽しく過ごしていただければうれしいです。それから、ぜひまたこおり健太の生声も聴きにいらしてください。お待ちしています。

こおり健太

こおり健太『しろつめ草』

2023年5月17日発売

品番:TKCA-91510
定価:¥1,400(税込)

【収録曲】

1. しろつめ草
2. 恋は上機嫌
3. しろつめ草(オリジナル・カラオケ)
4. 恋は上機嫌(オリジナル・カラオケ)
5. しろつめ草(2音上げカラオケ)
6. 恋は上機嫌(2音上げカラオケ)

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