巣立ちを迎えた大江裕のために、師匠・北島三郎が作った15周年記念曲『時代の海』。「北島先生からのリクエストは、〝お前の気持ちを俺に届けてくれ〟の一言でした」

2023.6.1

今年2月、デビュー15周年を迎えた大江裕。往年のファンの中には、『さんまのSUPERからくりTV』「恐れ入りますぅ~」と爆笑をとり、素人とは思えない歌唱力で、視聴者の度肝を抜いたあの高校生が、デビューしてもう15年かと感慨深い人も多いはず。デビュー以来師事してきた師匠・北島三郎の元からの独立と15周年を同時に迎えた大江に、北島が、大江の船出に思いを込めて作り上げた新曲『時代の海』への思い、歌手・大江裕のこれからなどを語ってもらった。


――2月には15周年記念曲『時代の海』を発表しました。大江さんらしい王道の男歌ですが、北島先生がお作りになったこの曲を最初に聴いて、どんな感想を持ちましたか。

まず、歌詞です。「親という名のお守り抱いて 人は世間に 船出する」この歌詞を見た時、先生がことあるごとに「人はいつか海へ漁に出なくてはならない時がくる」とおっしゃっていたのを思い出して、あれって思ったんです。しかもこれまでのようなテンポの早い皆さんを元気づけるタイプの曲とは違って、スローテンポな曲でしたから。何か意味があるのなかと思っていたら、先生の元を巣立ちするという話になりまして…。

――北島先生は、大江さんが自分の元を離れることを念頭に、船出という言葉を使ってこの曲をお作りになったのですね。

そうなんです。先生から言われたのは「絶対に泣いて歌うな」ということでした。「これまでお前は頑張ってきたんだから、もうこの辺りで大丈夫だろうということで巣立ちさせるんだから」と。僕は涙もろいので、そういう先生の気持ちがこもった曲だと思うと、もう歌えなくなってしまって、最初は大変でした。

――北島先生からは歌い方に対して特別なアドバイスやリクエストはありましたか。

今回は歌い方に関しては特になかったですね。言われたのは、「歌詞を理解して、お前の気持ちを俺に届けてくれ」ということだけでした。でもそんなこと言われると、もうそこで泣けてしまって。だから先生からは「泣くな!」と。

――CDの「ヨイショ」の掛け声は大江さんではなくて、北島先生の声だというのは本当ですか。

僕の声だとよく言われるのですが、先生の声です。僕からお願いをして、やっていただきました。やっぱり「ヨイショ」は先生でないと。お陰様で15周年を迎えた僕の背中を押していただける曲になったと思っています。

――コロナ禍の3年で疲れ果てている皆の耳には、大江さんの歌声が「頑張ろう」と背中を押してくれているように聞こえると思います。ご自身はどんな気持ちで歌っていますか。

この曲を歌っていますと、会場から「ヨイショ」という掛け声が聞こえるようになってきました。やっとコロナが収まってきたんだなという実感があって、皆さんには、辛いことの後には必ず明るいことが待っている、これからは楽しい未来が待っているよという気持ちをお届けしたいと思いながら歌っています。

――デビュー曲の『のろま大将』には「いつか見てくれ 大物に」という歌詞があり、今回は「夢じゃないのさ 願いは叶う」という歌詞があります。『時代の海』は15年の時を経て、大江さんの歌手人生の続きを歌っているような気がしました。

僕がまだ(出身の)大阪の岸和田にいる頃、北島先生が好きで先生のところで歌手になりたいと言ったら、皆にお前には無理だって言われました。そう言った人を見返してやりたいと思いながら、いろいろなことを乗り越えてきた部分もありましたので、願いは叶うと歌えるのは嬉しいことです。この曲は、15年間、先生に教えていただいたこと全部を出し切って、これまでにない気持ちで歌わせていただいております。

――カップリングは『ふるさと太鼓』ですが、2018年に北島先生が歌われた曲です。なぜ数多ある先生の曲からこの曲を選んだのですか。

実はこの曲は、もともと僕の10周年の時にいただいた曲だったんです。でも当時、僕にはまだこの曲は歌えなかった。こぶしも回らなかったですし。先生からも「まだお前では無理だ」と。それが今回、先生から「この曲は俺が歌ったけれど、もともとはお前の曲なんだから歌ってみろ」と言っていただいて、5年ぶりに歌うことになりました。

――5年経って先生は、大江さんの『ふるさと太鼓』を何とおっしゃっていましたか。

よく歌えているなと言っていただきました。今回実は、レコーディングにあたって、この曲は1回しか歌っていないんです。それも仮歌で。仮歌は本番と同じやり方で録音したのですが、それを先生に聴いていただいたらこれでいいと。この曲は5年前に歌えなかったショックがあったので、次こそは歌ってみせるという意気込みで普段からよく練習していました。そのいつもの歌い方で歌ったら、不思議ですね、それがよかったようです。先生はこれ以上やるとかえっておかしくなっちゃうからと。歌はあまり歌い込んでもダメなんですね、力を抜いて素直な気持ちで歌うのが一番伝わるんだと勉強になりました。

――4月にはやはり15周年記念のアルバム『明日に向かって』もリリースされました。30曲2枚組ですが、この30曲はどうやって選曲したのですか。

ディレクターさんと相談しながらですが、基本は60~80代の方々に聴いていただこうというコンセプトで選びました。少し前に『TRY』というポップスを集めたアルバムを作りましたので、今回はある程度、高齢の方にじっくりと演歌を聴いていただこうと思いまして。僕の大好きな曲をたくさん入れることができてよかったです。

――30曲の中で、一番思い入れのある曲といえばどの曲ですか。

みんな好きな曲ですが、どれか一曲と言えばちあきなおみさんの『冬隣』でしょうか。この曲を歌ってみて、やっぱり歌って深いんだなと改めて思いました。ただ思いを込めるだけでは歌にはなりません。言葉の一つひとつをはっきりと歌いながら感情も込める。これが一番難しかったのが『冬隣』でした。ちあきさんの、あの唯一無二の色は他の人には出せませんから、今回はなんとか僕なりの『冬隣』をお届けできたらと思いながら歌わせていただきました。

――大江さんのもう一つの顔・北島兄弟ですが、今年で結成5周年です。今後の活動についてお二人でどんなことを話していますか。

(北山の)兄さんは、先生から〝北島〟という名前をいただいた限りは、二人で力を合わせて先生の名曲を届けていこうという思いが強くて、兄さんがそういう覚悟なら僕もついていこうと思っています。口には出しませんが僕も心の中では兄さんと同じ思いを持っていますから。

――北島兄弟はこれから、主に先生の曲を継承して歌っていくということですか。

もちろんそれもありますが、新しいチャレンジもしていきたいという気持ちもあります。北山たけしも大江裕も演歌歌手なので、他のジャンルの曲を歌うと企画ものと見られてしまいますが、北島兄弟でなら、例えばポップスやロックを歌ってもいいんじゃないかと。最近、男性のデュオはあまり見かけないので、北島兄弟という名前を大切にしながら、これまでやってこなかったことに挑戦していくのも面白いと思っています。

――さて、コロナもようやく収まってきましたが、大江さんはこの3年間、どんな過ごし方をしてきましたか。

僕、コロナ禍が始まった頃に「仕事ができないのが辛いです」って先生に言ったことがあるんです。そうしたら先生が「ちょっと待て。皆、辛いのは同じなんだ。だからな、今の状況を休みという仕事を与えられた時間だと思え」っておっしゃったんです。家で過ごす時も、「寝て過ごしても、CDを聴いて勉強して過ごしても同じ時間。いろんな過ごし方があるじゃないか、そこを自分で考えなさい」と言われて、さすが先生、考えていることが全然違うとな思いました。そんなこともあり、この3年間は北島兄弟でインスタライブを開催するなど、家にいてもできることを精一杯させていただきました。

――ダイエットが話題になりましたが、これも家でできることの一環だったのでしょうか。

そうです、そうです。ダイエットも家にいるからこそできることですから。やっぱり外に出ていますと、例えばコンサートが終わった後、楽しみは食べることなんです。大変失礼ながらコンサートのラストで『祭り』を歌いながら、頭の中はこの後の食事のことを考えていたりして(笑)。「♪祭りだ 祭りだ」が「♪食事だ 食事だ」になっちゃったら怒られちゃいますけどね(爆笑)。

――20キロ痩せたという記事を読んだ記憶がありますが、実際は――?

40キロ痩せました。当時、北島事務所の社長からジムに行って痩せなさいと言われて、そこから少しずつ痩せたんです。ジムには3回しか行きませんでしたけど(笑)。

――運動でなければ、どういう方法でダイエットに成功したんですか。

鍋ダイエットです。やっぱり運動は続かないんですよ。だから食べて痩せました。コロナで自粛生活になった時にいろいろな方が野菜を送ってくださいまして、それを利用して自分でいろんな料理を作りました。蒸し野菜もしましたし、でもやっぱり鍋が多かったですね。飽きないように時には鶏肉や豚肉なんかも入れて、毎日鍋が楽しみでした。

――以前、タカアンドトシさんの街歩きの番組で、膝が痛くて階段を上がれないのを拝見しましたが、それだけ痩せたら膝の調子もいいんじゃないですか。

でも階段の上り下りにはやはり筋肉が大事ですから、痩せたのはいいんですが今度は少し運動して、もっと筋肉をつけないと(笑)。

――タカトシさんの番組もそうですけど、バラエティ番組にもよく出演されていますね。

バラエティは好きですね。ただバラエティに出るのはどうかという意見があることも知っています。でも僕はすべての仕事に誇りを持っていますし、バラエティに出ることで大江裕の名前を憶えていただければという思いもあるんです。番組に出たことがきっかけで、演歌に興味を持っていただけたら嬉しいです。もちろんバラエティ番組が好きだからということもあるんですけどね(笑)。

――ところで以前からストール集めが趣味とおっしゃっていますが、他に最近のブームはありますか。

最近はお花ですね。花と言っても買ってきて花瓶に生けるだけなんですけど。今は桜の枝をお花屋さんで売っているんですね。今年も、残念ながらお花見が出来ませんでしたので、この間、お花屋さんで桜を買ってきて家に飾りました。夏ならひまわりとか、秋はコスモスとか…。僕は子供の頃、おじいちゃんやおばあちゃんに花に水をやってと言われることが多かったので、花好きになったのかもしれません。

――さて、15周年を迎えたわけですが、今後の目標があれば教えてください。

最近はポップスなどいろんなジャンルの歌に挑戦させていただいていますが、やはり自分の中でしっくりくるのは演歌。でも時代は変わっていますので、新しい音楽が出てきてもいいかなとも思うんです。例えばポップスに演歌の歌詞を合わせた歌とか、今までにない歌を歌ってみたい気持ちはあります。とはいえ15周年は新たな旅立ちの時でもありますから、原点に戻ったつもりで、さらに歌を磨いていきたいと思います。

――新たなジャンルを大江さんが切り開いていくのも面白そうですね。

例えば「苦労」「我慢」「辛抱」なんて言葉がポップス調の歌に入ったらどうなるかなとか考えますね。「茨道」なんてけっこう面白いんじゃないかと思ったりしますけど。逆に演歌系の先生に、歌詞の中に「LINE」とか「既読」とか入っていますけど、これで作ってくださいとお願いするのも面白いと思います。

――最後に、ファンの皆さんに15周年を迎えた大江さんからのメッセージをお願いします。

僕もこの15年の間にいろんなことがありました。病気になったり、1年ほど休んでいたりしたこともありました。でもその度に皆さんから励ましをいただいて、もう一度大江の歌が聴きたいという言葉で立ち上がることができました。これからは、コロナも収束してどんどんコンサートも出来るようになると思いますので、ぜひ会いに来てください。15周年を一緒に盛り上げていただければと思っております。

大江裕『時代の海』ミュージックビデオ

大江裕『時代の海』

大江裕「時代の海」CRCN8549

発売中

品番:CRCN-8549
価格:¥1,400

【収録曲】

1. 時代の海 (作詩:原譲二/作曲:原譲二/編曲:遠山敦)
2. ふるさと太鼓 (作詩:下地亜記子/作曲:原譲二/編曲:南郷達也)
3. 時代の海 (オリジナル・カラオケ)
4. ふるさと太鼓 (オリジナル・カラオケ)
5. 時代の海 (一般用カラオケ・半音下げ)
6. ふるさと太鼓 (一般用カラオケ・半音下げ)

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