おかゆ、メジャーデビュー5周年の新曲『渋谷のマリア』で自身の原点・渋谷を歌う 「歌手としての自分が生まれ変わるような衝撃的な出来事が起きました!」

2023.6.2

渋谷のギャルからスナックのギター流しに————異色の経歴で知られるシンガーソングライター・おかゆがメジャーデビュー5周年に突入。新曲『渋谷のマリア』は自身の原点である渋谷の街に初めて向き合った、疾走感あふれるグルーヴ歌謡だ。シングルはカップリング曲の異なる3つのバージョンでリリース。インタビューではそれぞれの楽曲への思い入れのほか、本作リリースを控えた時期に直面した「自分が歌う意味」を覆すほどの衝撃的な出来事、その経験を経て新たに歩み出す音楽人生について語ってもらった。


──新曲『渋谷のマリア』に描かれている渋谷の街とおかゆさんの関わりについて、改めて教えていただけますか?

渋谷は私を大きく変えてくれた街です。17歳で渋谷のギャルに憧れて上京して、同じようにド派手なメイクをした仲間ができたり、読者モデルをしたり。大嫌いだった母からたまに来る電話にも出ず、毎日のように遊び回っていました。母の突然の訃報を知り、それまでの親不孝を償うように母が大好きだった昭和歌謡をスナックで歌い始めましたが、活動の拠点となったのも渋谷の道玄坂です。あの頃、一緒に遊んでいた友だちは大人になって渋谷に来なくなったけれど、私はこれからもこの街で歌い続けていきたい。そうした決意も込めつつ、5周年のタイミングで、初めて渋谷を舞台にした楽曲を書かせていただきました。

──思い入れの深いテーマだけに、楽曲制作にもこだわりが詰まっているのでは?

これまでの集大成かつ超進化した1曲にしようと、自分の原点であるグルーヴ歌謡の要素に加えて新しい表現もどんどん取り入れました。躍動感のあるシンコペーションを多用することで、時代の最先端でありながらノスタルジックな裏路地もたくさん残っている、さまざまな人間模様が交差する渋谷という街を表現しています。過去曲に『おかゆの夢は夜ひらく』というプロフィールソングがありますが、『渋谷のマリア』が私の代表曲になったらいいなと思っています

──シングルは3形態でリリースされ、カバー曲と書き下ろし2曲が収録されます。まずカバー曲『グッドバイ・モーニング』について選曲の理由を教えてください。

この曲は1976年にサンディーさんの歌唱でリリースされていて、これまでに18人の歌手が公式カバーしています。しかも18人の方すべてが誰にも寄せず、あたかも自分のオリジナル曲のように、ご自身のカラーで歌っています。それは私も同じで、昨年からライブでもよく歌っていますが、こんなに素直に歌の世界に入り込めるカバー曲は初めてです。流し時代からいろいろな歌をカバーしてきましたが、今までそんな歌に出会ったことはありませんでした。

──たしかにカバーはどうしてもオリジナル歌手の歌い方に寄ってしまいがちですね。

れこそ前作『赤いひまわり』のカップリングに収録した『夜間飛行』も、やはりちあきなおみさんの影響は確実にあったと思います。それもまたカバーの面白さではありますが、『グッドバイ・モーニング』は歌う人それぞれの色に染まる不思議な魅力があります。ちなみに私は19人目の公式カバーですが、20人目として海外の男性オペラ歌手の方がカバーすることがすでに決まっているそうです。時代も国境も超えて歌い継がれながら、まだまだご存知ない方も多いと思うので、私もこの曲を次世代に渡す一助になりたいと思い、このたび収録させていただきました。

──そして、ドラマチックなピアノバラード『黄昏の雨を抱いて…』はご自身の書き下ろし楽曲です。

切ない失恋バラードですが、“雨に打たれる”のではなく、“雨を抱く”とすることによって、失恋という現実を受け入れる主人公の心情を描きました。ちなみにこの曲のメロディはちょうど『グッドバイ・モーニング』をカバーし始めた頃に降りてきたもの。転調する曲を書いたのはこれが初めで、確実に『グッドバイ・モーニング』の影響だと思います。特に意識したわけではありませんが、それくらい『グッドバイ・モーニング』の衝撃が大きかったと後から気づきました。

──一方、もう1曲の書き下ろし曲『雪舞桜』は演歌テイストを色濃く感じます。

この曲はもともとある演歌の大先輩に提供するために書いた曲で、いつか自分でも歌おうと思っていた歌です。昔の恋を懐かしく思う心情と重ねて、雪と桜の花びらが共に舞う情景を描きました。地元の北海道では桜の季節にはまだ雪が残っていて、東京に来てかなり経つ私にとっても懐かしい風景です。私のオリジナル曲では最も演歌に寄ったメロディになったので、この曲で改めて演歌ファンのみなさんに知っていただけたらうれしいですね。

──メジャーデビュー5周年という節目を迎えて、これからどのような活動をしていきたいですか?

実は今年に入って、自分の人生観や歌う意味を変えるような大きな出来事が相次いで起こりました。何よりも大きかったのが、母が亡くなって初めて、9歳年下の妹と一緒に札幌に帰省した先日の出来事です。たまたま妹と予定が合ったので、自分たちのルーツ巡りをしようと実家のあった場所に行きましたが、すでに更地になっていました。母によく連れて行かれたスナックもなくなっていて……

──歌手の夢を諦めたお母さまがよく歌っていたというスナックですね。

はい。嫌々ながら母に連れて行かれたという記憶しかなかったのですが、それでも母の思い出を巡ろうと。でも、妹の運転する車に揺られていたら、まったく別の裏路地に、そのスナックと同じ看板が掲げられているのを見つけました。

──移転していたわけですか。

そうです! マスターも現役でいらして、母の名前を覚えていてくれました。しかも『よくママの真似をして歌っていたよね』と、私の記憶にないことまでおっしゃって。そんなわけない、あんなにスナックに連れて行かれるのが嫌だった私が、歌っていただなんて……と思っていたら、マスターがお店にあった写真のアルバムを開いて見せてくれました。そこには母が歌っている写真が何枚も、そして2歳くらいの私が、1人で歌っている写真までありました。

──記憶の扉が開かれてしまいましたね。

それまでずっと、私が歌うのは、歌手という夢を叶えられなかった母への供養だと思い込んできたし、インタビューでもそう答えていました。だけど楽しそうに歌うその写真を見たら、物心つくかつかないかの私が、歌が大好きだったということは明らかでした。じゃあ、なぜ私は今、歌を歌っているのか──。写真を前に号泣しながら、それまであった自分の中の記憶がガラガラと崩れていくのを感じていました。

──ちなみに当時、自分が何を歌っていたか、記憶は蘇ってきましたか?

思い出せないですが、おそらく母が大好きでよく歌っていた髙橋真梨子さんの曲だったと思います。中でも『for you…』には母の思い出がありすぎて、テレビ番組で歌ってほしいと言われても、泣いてしまうからと今まではお断りしてきました。ところが、先日の『昭和歌謡ベストテンDX』(BS-TBS)で初めて『for you…』を歌いました。なぜかというと、今年の1月に真梨子さんがラストツアーを終えられたので、彼女の素晴らしい楽曲を歌い継ぐのは私も含めた現役歌手の使命だと、自分の気持ちに踏ん切りが付いたからです。その番組の放送日が、正に私が札幌を訪れた日でした。

──鳥肌が立つような巡り合わせからしばらく経った今、改めて「自分はなぜ歌っているのか」についてどのように考えていますか?

これまで母の夢を継ぐことを生きる指標にしてきたけれど、そうじゃない。私にとって歌を歌うということは、自分自身を生きることだと再確認しました。多くの方に歌を届けたいのはもちろんですが、1日でも長く、できれば第一線で歌い続けること。そのためには何をするべきか、これからはもっと考えて行動しなければいけないと思っています。5周年のタイミングにそのことに気づけたのは、本当によかったと思っています。

──これから具体的にしてみたいことはありますか?

流し出身ということもあって、これまで一匹狼なところがありましたが、演歌・歌謡曲で頑張っている女の子たちと、もっと群れてもいいのかなと考えるようになってきました。最近は演歌男子が盛り上がっていますが、それもやっぱりいい意味で群れているからだと思います。ムーブメントというのは、なかなか1人では起こせないですからね。演歌の世界は師弟関係などもあって、個人行動がなかなか難しいと思いますが、私はずっと1人で活動してきたので、『みんなで手をつなごう!』と声をかけられる立場にあるのかなとも思います。

──演歌女子ムーブメントを巻き起こす、その渦の中心を担う覚悟ですね。

もともと誰かを引っ張っていくのは得意ではありませんが、そんなことを言っても何も始まらないという境地です。演歌女子たちはもちろん、TikTokなどで頑張っている歌謡曲の弾き語り女子たちと一緒に、演歌・歌謡曲の世界を盛り上げるような面白いことができたらと思っています。リスナーのみなさんも、どうか応援よろしくお願いいたします!

おかゆ『渋谷のマリア』

2023年5月31日(水)発売

おかゆ 渋谷のマリア GM盤

GM盤

品番:VICL-37688
価格:¥1,400(税込)

【収録曲】

1.渋谷のマリア(作詞・作曲:おかゆ)
2.グッドバイ・モーニング(作詞:庄野真代/作曲:中島 薫)
3.渋谷のマリア(オリジナル・カラオケ)
4.グッドバイ・モーニング(オリジナル・カラオケ)

おかゆ 渋谷のマリア 黄昏盤

黄昏盤

品番:VICL-37689
価格:¥1,400(税込)

【収録曲】

1.渋谷のマリア
2.黄昏の雨を抱いて…(作詞・作曲:おかゆ)
3.渋谷のマリア(オリジナル・カラオケ)
4.黄昏の雨を抱いて…(オリジナル・カラオケ)

おかゆ 渋谷のマリア 雪舞桜盤

雪舞桜盤

品番:VICL-37690
価格:¥1,400(税込)

【収録曲】

1.渋谷のマリア
2.雪舞桜(作詞・作曲:おかゆ)
3.渋谷のマリア(オリジナル・カラオケ)
4.雪舞桜(オリジナル・カラオケ)

ストリーミングサービスおよびiTunes Store、レコチョク、moraなど主要ダウンロードサービスにて5月31日より配信スタート
※音楽ストリーミングサービス:Apple Music、Spotify、YouTube Music、LINE MUSIC、Amazon Music、Deezer、AWA、Rakuten Music、KKBOX、TOWER RECORDS MUSIC

おかゆPROFILE

1991年6月21日生まれ、北海道札幌市出身、血液型A型、シンガーソングライター。

歌手になることが夢だった母のもと、小さい頃からスナックに連れて行かれ、そこで歌謡曲を聴いて育つ。母がいちばん好きだった歌手が髙橋真梨子で、自身も好きになった。他にも藤圭子や、ちあきなおみなどの楽曲も好んで歌っている。急逝した母の夢を引き継ぎ歌手になるため2014年から「流し」の活動を始め 、日本全国をまわり、2019年4月に47都道府県を制覇。インディーズ時代にはテレビ東京「THE カラオケ☆バトル」で2回優勝。2019 年5月1日『ヨコハマ・ヘンリー』でビクターからメジャーデビュー。中学時代に本名の「ゆか」をもじって付けられたニックネームが「おかゆ」。現在、BSテレビ東京「徳光和夫の名曲にっぽん」にアシスタントMCとしてレギュラーで出演中。 ラジオアミューズメントパーク「ラジおかゆ」(8局ネット)にメインMCとしてレギュラー出演中。ヤマハのアコギ(FGX5)を使用。

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