デビュー8年を迎えた津吹みゆが『郡上しぐれて』をリリース 「私はまだまだ色気より食い気、“女の情念”を勉強中です!」

2023.6.23

2015年のデビューから8年を迎えた津吹みゆが、12曲目となるシングル『郡上しぐれて』をリリース。岐阜県郡上市で毎年夏に行われる「郡上おどり」をテーマに、来るはずのない男を待ち続ける女の切ない恋心をしっとりと歌い上げた、彼女の新たな魅力が詰まった楽曲だ。
ソロだけでなく「みちのく娘!」としての活動や舞台への挑戦など、芸域を広げている津吹。新曲への思いやデビューのきっかけ、プライベートなどを聞いた。


——『郡上しぐれて』の楽曲を受け取ったときの感想を教えてください。

「郡上おどり」で出会い、「1年後にまた会おう」と約束した男性を待ち続ける女性の情念を描いた作品なのですが、こんなに艶っぽい曲は初めてだったので「どういうふうに歌ったらいいのかな?」と悩みました。「どんと響く直球ボイス!」というキャッチフレーズの通り、これまでの曲ではサビで“ドン”と声を張ることが多かったんですよね。サビで声を張らず、グッと堪えて歌うのは初めての経験でしたが、切なさを感じていただける仕上がりになったのではないかと思っています。

——昨年の『壇ノ浦恋歌』、『おんなの嵯峨野路』に続いて、たきのえいじ先生が作詞を担当されましたが、歌詞の行間が非常に豊かですね。

1年間、彼を待ち続けた女性が、「今夜は会えるかもしれない」と期待しながらお化粧をしている。一方で彼が来ないことを予感しているからこそ、鏡に映った彼女の口紅の赤がより切なく見えてくる……というように、行間を読む作業をとても楽しみました。でも、たきの先生には「みゆちゃんのいいところは、“悩みがないのが悩み”というくらい明るいところ」と言われましたし、実際に色気より食い気の性格で(笑)。普段の私とのギャップを楽しんでいただければうれしいです。「女の情念」についてはまだまだ勉強中です!

——カラオケで歌うときのポイントは?

作曲の四方章人先生から「艶っぽく」とアドバイスをいただきましたが、緩急と抑揚を意識して、特にサビは声を抑えると切なく聞こえます。「下駄の音」という歌詞の部分は、「の」と「音」の間にグッと間を入れて歌ってみてください。

——岐阜県の郡上八幡に一人旅に行ったとうかがいました。

「これは行かねば!」と思い立って行ってきたのですが、町並みがとてもステキな場所でした。初めて行く土地だったので、事前に観光協会に「女の一人旅なのですが」と電話をしていろいろアドバイスをもらったんです。その時に「天気が雨模様で…」と話したら、対応してくださった女性が「郡上八幡は雨も似合う町と言われております」と教えてくれて。実際、私が行った日は夕方からしとしと雨が降ってきたのですが、新曲のイメージと重なってすごくよかったです。

 

郡上八幡 一人旅

——歌の舞台になった場所に行ったことで、何か変化はありましたか?

歌い方の変化はないですが、内面的には大きく変わりました。歌の設定はフィクションですが、自分の中に芽生えてきたものがあって。例えば、歌詞にもある郡上おどり用の下駄「踊り下駄」を買って、その音を聞いてみたり、長良川鉄道の車窓から長良川や新緑の美しさを見たり、ゆっくりゆっくり走る電車に乗っているみなさんの雰囲気を感じたり。そういった風景を思い浮かべながら歌うからこそ、伝わるものがあると思います。

購入した「踊り下駄」

——一人旅はよく行くのですか?

前作の『おんなの嵯峨野路』のときも、一人で嵯峨野に行きました。もともと家族が旅好きで家族旅行にはよく行っていたのですが、一人旅は時間の使い方がとても贅沢だなと感じます。誰かと話したりすることがない分、風や水の音、町の空気感などをより繊細に感じられる気がして、違う楽しさがありますよね。

——旅の楽しさだけでなく、歌を歌う楽しさもご家族から教えてもらったそうですね。

母と祖父母は演歌と昭和歌謡が、父はコブクロさんやDREAMS COME TRUEさんが好きで、とにかく歌好きの家族の中で育ったんです。両親は介護福祉士なのですが、母は音楽療法士として福祉施設や介護施設にボランティアに行っていたんです。私も小学生のときから母と一緒にボランティアに行くようになって、おじいちゃんやおばあちゃんと一緒に『青い山脈』や『リンゴの唄』を歌っていました。その時に、みなさんが私の歌を聞いて喜んでくださっている姿を見て、「歌っていいな」「歌手になりたいな」と思ったのが、この仕事を目指したきっかけです。実は人見知りの性格なのですが、当時から、音楽が鳴っている間は全然緊張しませんでした。音楽がなくなった瞬間、緊張が襲ってくるんですけどね(笑)。

——その頃から、歌手になるという夢に向かって一直線だったのですか?

歌手になりたいと思う一方で、両親のような介護福祉士になりたいという気持ちもありまして、悩みながら高2の進路選択の時期を迎えました。当時のクラスメイトはみんな大学進学希望だったので、私も母と一緒に東京の大学のオープンキャンパスに行ったりして。「(福島弁で)東京は広いな〜大学はキレイだな〜」って(笑)。

——デビューの直接のきっかけになったのは、『NHKのど自慢』ですね。

福島県いわき市で『NHKのど自慢』が開催されると知った母から、高校に電話がかかってきました。「今日が応募の締め切りだけど、どうする?」って。『NHKのど自慢』にはずっと憧れていましたからダメもとで応募したら、奇跡的に合格して、放送を見た日本クラウンの方から連絡をいただきました。両親は「人生は一度しかないから、進みたい道を選びなさい」と言ってくれましたし、担任の先生も「応援するぞ」と言ってくださって、気持ちを決めました。それが高2の夏だったのですが、少しでもタイミングが遅かったら、私の進んだ道は違ったかもしれないですね。

——2018年からは、工藤あやのさんと羽山みずきさんと一緒に「みちのく娘!」としても活動中です。

「みちのく娘!」も、今年でデビュー5年。歌だけでなく踊りもあるので、大好きな宝塚の娘役になった気分で歌えるのが楽しいですね。3人で息を揃える歌い方も、とても勉強になっています。日本の歌謡界の歴史を支えた花柳糸之先生から、「見に来てくれた人にどう見てもらって、どう聞いてもらって、どう楽しんでもらうかを意識しなさい」と教えていただいたのですが、その経験はソロでも生きています。「みちのく娘!」の活動を通して、演歌歌手ももっといろいろなことにチャレンジしていいんだ!と感じました。ソロのコンサートでも、もっともっと弾けて表現していきたいと思うようになりました。

——昨年の10月には、松井誠さん脚本・演出・振り付けの舞台「錦秋浅草特別公演」にも挑戦しました。

3週間かけてお稽古したのですが、お稽古に向かう道からワクワクが止まりませんでした。お芝居は難しくて壁にぶち当たったりもしましたが、みなさんからたくさんアドバイスをいただいて。舞台の上で“おかよ”という役で生きることができた瞬間がとても幸せでしたし、本当に勉強になりました。お芝居は自分のことだけしか考えずにセリフを言うと、その空間から浮いてしまうんですよね。相手のセリフを聞いて、その空気を感じ取った上で、自分の感情をセリフに乗せないと見ている人に伝わらないし、芝居自体が成り立たない。歌も一緒で、自分の気持ちを入れて歌わないと伝わらないことを学びました。

——ではお仕事の話から少し離れて。プライベートでは何をしているときが楽しいですか?

(即答で)ご飯を食べている時! あと、寝る直前の瞬間。ほかにも……最近お花を生けるのが好きで、今は両手にあふれるくらい大きな青い菊の花を部屋に飾っています。それと、コンサートの構成を妄想するのも好き。あとは、舞台のために所作指導を受けて、扇を手になじませておこうと思うようになったので、テレビを見ながら扇を触っていることが多いですね。

——一人旅といい、比較的一人の時間を楽しめるタイプですね?

一人っ子なので(笑)。一人旅も抵抗がないですし、ラーメン屋さんにも一人で入れます。でもふとした時に寂しくなるので、両親と祖父母に電話をしています。3日に1回は電話をしないと祖父母が心配するのですが、その時間も楽しみですね。あとやっぱり大好きなのは、宝塚!

——宝塚のどんなところが好きなのか、じっくり教えてください。

本当に夢の世界じゃないですか。夢も勇気も、エネルギーも笑顔も、全部ギュッと詰まっていて、明日から頑張ろうという活力をもらえるんです。公演ごとのアドリブの違いを見比べるのも楽しいですし、黒燕尾服の男役のトップスターさんも、男役さんにそっと寄り添う娘役さんも、本当にステキ。フィナーレでは、私が気に入っているちょっとマニアックなポイントがありまして。

——どんなところですか?

最後の大階段で、2番手さんに続いて羽を背負ったトップの娘役さんが出てきますよね。私が注目しているのは、その時の娘役さんの後ろ姿! 大階段を降りてきてお辞儀をした娘役さんが、トップさんを迎えるために自分の立ち位置に急いで走っていくその後ろ姿がとっても可愛らしいんです! 羽がふわふわふわって動いて……って私喋りすぎですか?(笑) 本当にみなさんオーラがすごくて、あんなスターに私もなりたいなって憧れますし、少しでも近づけるようにがんばりたいです!

——では最後の質問です。30歳まであと3年ですが、女性としてどんなふうに成長していきたいか、聞かせてください。

おとぼけな性格は変わらないと思うのですが(笑)、きめ細やかな心配りや気配りをできる女性になりたいです。内面からきちんと磨いて、思いやりをしっかり持った、輝いている30歳になりたいですね。これからも、津吹みゆをよろしくお願いします!

津吹みゆ『郡上しぐれて』ミュージックビデオ

津吹みゆ『郡上しぐれて』

津吹みゆ『郡上しぐれて』

発売中

品番:CRCN-8575
価格:¥1,400(税込)

【収録曲】

1. 郡上しぐれて
2. 母子草
3. 郡上しぐれて (オリジナル・カラオケ)
4. 母子草 (オリジナル・カラオケ)
5. 郡上しぐれて (一般用カラオケ・半音下げ)
6. 母子草 (一般用カラオケ・半音下げ)

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