デビュー15周年を経て、三山ひろしが新曲『恋…情念』をリリース 「これまでの歌とは違う、まったく新しい世界観の曲です」

三山ひろし
2024.1.22

これまで歌ってきたどの曲とも違う、女性の一途な恋心を凝縮した新曲『恋…情念』をリリースした三山ひろし。昨年末は、前作『北海港節』で第56回日本作詞大賞を受賞。デビュー15周年の節目を経て、新たなタイプの楽曲を携えて16周年に踏み出した三山ひろしに、9年連続となった『NHK紅白歌合戦』出場や昨年感じた歌手としての心境の変化について話を聞いた。


三山ひろし

――まずは1月の10日発売の新曲『恋…情念』にかける意気込みをお聞かせください。

今回の『恋…情念』は女性の一途な想いを表現した曲なのですが、僕がこれまで歌ってきた歌とは違う新しい世界観で、初チャレンジとなる一曲です。作家の先生方がこれまで僕が歌手活動を続けてきたのを見て、「そろそろこういった作品も、歌い演じられるようになったんじゃないか」と思っていただけたのかと思うと、少しずつ成長できているのを認めていただいたようで、うれしいと同時に改めて気の引き締まる思いを感じています。

――三山さんにとっては新しいタイプの楽曲ということですが、初めて聴いた際のご感想は?

僕はいつも、いただいた曲を聴いた時に絵が浮かぶんです。そうやって浮かんだ絵を皆さんにお届けしたいと思って歌っているのですが、今回は一途な想いを抱いた女性の可憐な姿が一気に頭の中に描き出されました。それぐらいインパクトがあって強いメッセージ性を秘めた曲なんだと感じましたね。原文彦先生に書いていただいた歌詞の世界や女性像があまりにリアルだったので、レコーディングの際には歌いながら涙が浮かんだほどでした。今回の新曲はそれだけの説得力を持った一曲なので、早く皆さんにも聴いていただきたいと思っています。
「情念」というと、「愛してはいけない人を愛してしまった」というようなイメージを持たれる方もいるかと思いますが、『恋…情念』で描かれているのは“清らかな愛”だと僕は感じています。どんなことがあっても一途にその人を愛する女性の、「もう他の人ではダメなんだ」という気持ちをつづった可憐で美しい世界をお届けできるのを、今はすごくうれしく感じています。

三山ひろし

――この歌の主人公と三山さんとで、通じる部分を感じましたか?

似ているところはあると思います。僕は高知の出身なので、どちらかというとまっすぐな気質のタイプだと思うのですが、この“一人の男性を愛する女性の姿”というのが痛いほどわかるんですよ。だから、周りからどんなに批判されようと、石を投げられるようなことがあったとしても、「あなたがいればそれでいい」というひたむきな想いを秘めた女性の気持ちというのは、ちょっと通じるところがあって、僕は大好きですね。

――デビュー15周年のメモリアルな年を経て、新曲を携えて始まる新たな年ですが、今年の抱負をお聞かせください。

この仕事をさせていただくうえで、僕は“停滞”は許されないと思っています。“芸道”というのは、常に上り坂だと思うので、坂を上っていく上では常に新しいことにチャレンジしていかないといけない。そうした意味でも今回の新曲『恋…情念』は、2024年のスタートを飾るにふさわしい曲だと思います。
コンサートで歌う時にはどう見せていくのかをスタッフの皆さんと話し合っているのですが、そこで僕が感じているワクワク感を早くお客様にお届けしたいですね。

――ちなみに2023年の大晦日は、9年連続で『NHK紅白歌合戦』にご出場でしたね。昨年の『紅白』出場決まった時の感想をお聞かせください。

毎年歌に全力で取り組んでいますが、その頑張りを認めていただけたことは非常に光栄です。一年間頑張ってきた成果を大晦日のステージで観ていただくことは、歌手・三山ひろしの生きた証を残すことだと思っていますので、出場の連絡をいただいた時には、また紅白で歌う姿を観ていただけることが本当にうれしかったです。出演者の発表後には、多くの方々から喜びと励ましのお声をいただきました。特に僕のふるさと・高知の方々は、三山ひろしが『紅白』に出ることを本当に楽しみしていただいていて、「今年もやったね!」と言っていただけることになって、ホッとしました。

三山ひろし

――連続で出場することがプレッシャーになったりしてはいませんか?

最初の頃は、やっぱり結構プレッシャーがありました。ですが今はそれを楽しめるようになってきている気がしますし、そう思えることで自分自身が少しずつでも成長してきているのかなと思っています。またそれと同時に、作家の先生方からいただいた作品を世に残していくためには、歌い手である“三山ひろし”自身がしっかりしていかないとダメだという思いも強く感じています。『紅白歌合戦』に出場させていただくことは、“緊張やプレッシャー”というより、今は“責任感と楽しみ” という部分大きいように感じています。

『紅白』出場で年を終えることができて、2023年は僕にとって本当にメモリアルな1年だったなと感じています。「第44回松尾芸能賞」で優秀賞をいただくこともできましたし、NHKの朝ドラ『らんまん』に出演させていただくこともできました。けん玉でも、始めて10年以上経つのですが、今年初めて大会に出場させていただき、「第37回全日本けん玉新人王決定戦」社会人の部で優勝して社会人新人王をいただきました。実は総合の「新人王」というのもあるのですが、学生新人王に1点だけ負けてしまって獲得することはできませんでした(苦笑)。そんなことも含めて、2023年はかなり思い出深い年になったような気がします。

――かなりお忙しい年だったのではありませんか?

確かに忙しかったかもしれません。コンサートでは、以前と同じものはお見せできませんから、『嵐を呼ぶ男』のソロパートを叩いていたドラムをグレードアップさせて、オリジナル曲を歌いながら叩いたりもしました。練習はハードでしたが、おかげでお客様に十分に見応えを感じていただけるコンサートがお届けできたのではないかと思います。12月に明治座で開催した「ひとり大忠臣蔵」も、以前に大阪・新歌舞伎座で公演したものをよりスケールアップしてお届けすることができたと思います。稽古も含めて確かにハードだったかもしれませんが、お客様の笑顔や喜んでいただく姿を見ることができれば、そんな大変さも全部吹き飛んでしまいます。皆さんにご満足いただけるものが作れれば、がんばった自分をほめてあげたいくらいの気持ちになるんです。

三山ひろし

――デビュー16周年を迎えるにあたって、これまでの15年を振り返ってどんな歌手人生でしたか?

これまでの15年を振り返ってみて、実は僕は「あっという間」だとは思っていません。いろんな方に応援していただきながら、地道に積み重ねてきた15年でした。これまでの15年の間には、亡くなってしまった方もおられます。そうした方にも「今の自分を見てほしい」と言える15年になっているとうれしいなと思っています。
昨年、15周年を迎えるにあたって思ったのは、歌という人の心を揺さぶるものと向き合っているということを、もう一度よく考えなきゃいけないということでした。自分の歌の世界だけではなく、次の世代につながるようなことも考えていかなきゃいけないと感じたんです。15年もやらせていただいてきた歌の世界に対して、“責任”を感じるようになった気がします。歌手生活の15年を通して心の成長があったからなのかもしれませんね。

――“次の世代につながること”とは、どういうことでしょう?

若い世代の歌手の方もたくさんおられますが、僕はそうした方々の“身近な目標”になれる立ち位置にいるべきではないかと思うんです。もちろん最終的な目標は北島三郎さんや五木ひろしさんといった方々になると思うのですが、ゴールが遠すぎると目標になりにくい部分もあると思うので、「もうちょっと頑張れば届くかも」というくらいの位置に、僕はいるべきではないかと考えています。若手にとって届きそうで届かない存在でいるためには、彼らと同様かそれ以上に切磋琢磨が必要ですが、そろそろ中堅と言われる僕らが若手にとっての中ボス的な存在になることで、演歌や歌謡曲の世界を全体的に盛り上げていく力になれないかと思っているんです。
こうした考えは、10周年の時にはまったく思いもしませんでしたし、その余裕もありませんでした。無我夢中で15年間突き進んできて、ふと周りを見回したら、自分と同じようにやっている人が何人いて業界がどうなっているのかに初めて気がついた。お世話になっている歌の世界をもっと盛り上げるために、自分のできることも見えてきたような気がしています。

――そういう部分での取り組みも、2024年の抱負のひとつなんですね。

いきなり大規模なことはなかなかできませんが、業界を賑わすようなことを仕掛けていきたいと思っています。まだアイデア段階で、実際にどうなるかはわかりませんが、皆さんのお力をお借りして業界を盛り上げていきたいと思っていますので、楽しみにしていてほしいですね。

三山ひろし

三山ひろし『恋…情念』ミュージックビデオ

三山ひろし『恋…情念』

発売中

品番:CRCN-8623
価格:1,500円(税込)

【収録曲】

1. 恋…情念(作詩:原 文彦、作曲:弦 哲也、編曲:猪股義周)
2. 雲(作詩:日野かなで、作曲:弦 哲也、編曲:猪股義周)
3. 恋…情念(オリジナルカラオケ)
4. 雲(オリジナルカラオケ)

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