神野美伽が41周年に向けたニューシングル『天の意のまま』をリリース! 「自分の意思ではどうしようも出来ないことが世の中にはあります。だからこそ、今を目一杯生きるべきだという想いを込めました」

2024.3.6

幅広い音楽ジャンルとのコラボレーションにより、新たな魅力を発信し続けている神野美伽が40周年記念曲第2弾として、作詞に荒木とよひさ、作曲に弦哲也の布陣でニューシングル『天の意のまま』をリリース。昨年80歳を迎えた荒木とよひさの心情を込めた歌詞を受け止め、弦哲也による壮大なメロディーが活力を与えてくれるこの曲について、神野自身の人生観に重ねて語ってもらった。


――新曲『天の意のまま』は、前作に引き続き荒木とよひさ先生が歌詞をご担当されましたが、歌詞をご覧になってどの様な印象を持たれましたか?

とよひさ先生が歌詞の途中で「人間(じんかん)到る処に青山あり」と、幕末のお坊様である月性が書いた漢詩を一部引用されています。人間(じんかん)というのは人と人との間=世の中を意味していて、青山というのはお墓を意味しています。つまり月性は「世の中には自分の骨を埋める場所がいくらだってある。だから、1カ所にとどまらないで大きく広い世界に目を向けて、自分の人生を大いに活躍するべきだ」というメッセージを残しています。とよひさ先生は昨年80歳を迎えられて、「いくら死にたいと思っていても、天がいいと言うまで終わりじゃない。だから俺らしく生きればいいんだ」という捉え方で引用されています。この1年間、とよひさ先生と電話でお話をしたり、メールをしたり、時には会って一緒に時間を過ごしている時に、よくこういうお話しをされていました。

―――荒木先生が普段から思っていることを歌詞にされたのですね。

まさか、そのままのタイトルと内容が来るとは思っていませんでした。ただ、新曲をレコーディングするにあたって、とよひさ先生からそれぞれタイプの違う歌詞の曲を3ついただきました。その中で『天の意のまま』を選んだのは、昨年40周年を迎えて自分のやりたいことを目一杯やれた反面、父との別れ、八代亜紀さんとの別れ、デビュー前から担当して育ててくれたディレクターとの別れがありました。それまでは、自分の人生や未来は自分で作るものだと思って生きてきましたが、昨年の経験を通じて、自分の意思ではどうしようも出来ないことが世の中にはあると強く感じました。ただ、それはネガティブな捉え方ではなく、月性のように「だからこそ、今を目一杯生きるべきだ」と感じていたところに、41年目に向けた作品としてこの曲に出会ったので、ぜひ歌いたいと思いました。

――荒木先生の歌詞に弦哲也先生のメロディーと猪股義周さんのアレンジが加わりましたが、お聞きになった際にどのような印象をお持ちになりましたか?

弦先生のメロディーが『天の意のまま』の世界観を広げてくれたので、聞いた時に「来た!」と共鳴しましたし、歌詞の大陸的な雰囲気に合ったメロディーをつけてくださったのが嬉しかったです。アレンジの猪股さんとは楽器の響きに関して、演歌ではあまり使わないティーンホイッスルをあえて使うなど、より大陸的なイメージに近づけるように相談しながら一緒に曲を作り上げていきました。そのおかげもあって自然に歌うことが出来て、レコーディングが終わってから、こぶしを使わずに歌っていたことに気がつきました。特に指示があったわけではありませんが、この40年間で数多くの演歌を歌ってきて、自分に未知の領域があることを発見出来ました。

――漢詩語りのレコーディングはいかがでしたか?

最初は独り言に近いさらりとしたトーンでレコーディングに臨んだですが、弦先生から「そうじゃない表現もあるよ」と提案があって、最終的には重いトーンに落ち着きました。ただ、CDはあくまでもサンプルなので、コンサートやテレビカメラの前で歌い始めると歌が変化していきます。今回の語り部分は、メロディーのあるところ以上に変わっていくと思います。歌い続けると歌が“育っていく”ので、それが面白いところです。

――現在の神野さんが歌う『天の意のまま』が、10年後、20年後にどのような変化を遂げているのか楽しみです。

「天とは何か?」と聞かれたら説明がつかないけど、“時”というのはあるわけですよね。命が終わる“時”とか、出会う“時”とか。その“時”に巡り会った際に後悔しない毎日を生きていたいという気持が、10年前よりも強くなりました。10年前だったらこの楽曲を選んでいなかったかもしれないけれど、今なら共感出来ます。当然、これからの残り時間も意識しながら歌っているので、1曲に対しての想いは変わってきています。「命惜しむな」という言葉通り、想いを残しちゃったらもったいないですよ。人生に反省はあっても後悔はしたくないと思います。

――カラオケでも気持ちよく歌えそうですね。

その方の解釈や人生経験によって歌詞の捉え方がかなり違ってくるので、皆さんがどのように歌われるのか興味がありますね。

――C/Wの『旅立つ朝』Live Versionについてお聞かせください。

昨年の新宿文化センターで開催した「神野美伽デビュー40周年コンサート My Voice is the sound of my soul」の音源を残しておきたくて収録しました。ビッグバンドの演奏で3人の女性ボーカルと一緒に歌った、22年に発売したシングルとは違うアレンジの『旅立つ朝』です。

――なぜ今回はライブ音源を残そうと思われたのでしょうか?

ゴスペルをイメージしてアレンジしてもらったのですが、ライブ演奏をもう1回レコーディング出来るかと言ったら、出来ないです。ゴスペルは、人間が生きていく上での悩みや苦しみから解き放たれるために歌うものだと思います。そもそも歌というのは、世の中から解き放たれて歌うことで、浄化作用がある。私自身も歌っている時が一番元気です。本当はエネルギーを使って疲れるはずなのに、どんどん元気になって「また明日も生きたい」「まだまだ歌いたい」という意欲に繋がるのは人間の本能でしょうね。私みたいに歌うことが好きな人は歌うし、踊ることが得意な人は踊るし、それが出来ない人も何かやっているはずです。

 『旅立つ朝』と『天の意のまま』には、全く違う歌だけど、“旅立つ”という共通項が存在しています。一つの場所にとどまらず、広く大きな未知の世界に向かって生きようというテーマは一緒だと思います。

――41周年へ歩み出すにあたって、これからやりたいことはありますか?

やりたいことというのは、次々に湧いてきます。たくさんの人と出会って、その人の生き方や音楽に共感して、その人の音楽に乗っかってみる。人と出会うことによって、また新しい自分の才能が出てきた実感があります。例えば、40周年コンサートの第1部でビッグバンドとジャズやラテンを歌いながら「私はここにたどり着いた」と、40年の積み重ねを感じました。

直近では、笠置シヅ子さんの歌だけを集めた『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』という11曲入りのアルバムを、4月17日の発売に向けてレコーディングします。『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』という新しいボートに乗ることで、違う島にたどり着けるのではないかというのが、近々の楽しみです。笠置さんの楽曲はレコード会社が違うこともあって、許諾を得ることが高いハードルになっていたのですが、スタッフの粘り強い頑張りのおかげでリリース許可が降りました。『天の意のまま』じゃないけれど、無理に開かないドアを開けようと思っても、開かない時は開かない。でも、諦めなければ降りてくる時は降りてくるので、動いてくれたスタッフには感謝しています。アルバム『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』は皆さんに楽しんでもらえる1枚になるはずです

――最近、プライベートではどのように過ごされていますか?

1泊や日帰りの小旅行に出掛けています。行きたいと思った時に行くのが一番の贅沢。今まではそういう時間がもったいないと思っていましたが、旅をすることでいろいろな人と出会うことが出来るので、今はそれが楽しいです。最近では札幌へお鮨を食べに行きました!

――最後にファンの皆さんへメッセージをお願いします。

『天の意のまま』への想いが、インタビュー記事をご覧になっている皆さんの明日に繋がれば幸いです。あとは、私の生き甲斐でもあるライブに足を運んでいただけたらと思います。演歌や歌謡曲のコンサートはもちろん、フィル(交響楽団)やビッグバンドとコラボレーションするコンサートも開催しているので、「こういうの好きだな」「面白そうだな」と思ったステージにお越しいただいて、皆さんと同じ時間を過ごしたいです。

神野美伽『天の意のまま』ミュージックビデオ

神野美伽『天の意のまま』

2024年3月6日(水)発売

品番:KICM-31118
価格:¥1,500(税込)

【収録曲】

1.天の意のまま(作詞:荒木とよひさ/作曲:弦 哲也/編曲:猪股義周)
2.旅立つ朝 Live Version(作詞:保富康午/作曲:村井邦彦/編曲:クリヤ・マコト)
3.天の意のまま(オリジナル・カラオケ)
4.天の意のまま(一般用カラオケ・半音下げ)
5.旅立つ朝(オリジナル・カラオケ)
6.旅立つ朝(一般用カラオケ・半音下げ)

神野美伽with ALL STAR JAZZ BAND『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』

神野美伽with ALL STAR JAZZ BAND『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』KICX1172

2024年4月17日(水)発売

品番:KICX-1172

【収録予定曲】※曲順未定

ジャングル・ブギー
ラッパと娘
センチメンタル・ダイナ
ホット・チャイナ(SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE Ver.)
ブギウギ時代
ヘイヘイブギー
買物ブギー
大阪ブギウギ
オールマン・リバップ
東京ブギウギ
大空の弟
(音楽劇「SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE ハイヒールとつけまつげ」LIVE録音)ボーナストラック

表紙イラスト:くっきー!(野生爆弾)

舟木一夫・神野美伽 ジョイントコンサート

2024年5月2日(木)~8日(水)
大阪新歌舞伎座

GENTLE FOREST JAZZ BAND with 神野美伽 あの頃の、ビッグバンドと、ブギウギと

2024年5月18日(土)
愛知県春日井市民会館

THE COLLECTORS 古市コータロー ソロツアーファイナル(ゲスト出演)

2024年年5月30日(木)
ROPPONGI EX THEATER
ゲスト:
ウエノコウジ(The HIATUS)、 江沼郁弥(DOGADOGA) 、大森南朋、クハラカズユキ(The Birthday) 、佐々木亮介(a flood of circle)、神野美伽、仲井戸“CHABO”麗市

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