森山愛子 独占インタビュー 「夢は、いつか座長公演を実現すること」

2019.6.21

新曲『尾曳の渡し』がオリコン週間ランキング演歌・歌謡曲部門で1位を獲得。憧れの先輩、坂本冬美さんの明治座・座長公演でも元気な姿を見せた森山愛子さん。デビュー16年目を迎え、充実した活動を続ける森山さんに、演歌の魅力やこれからの目標を語っていただいた。

大切にしているのは、ありのままの自分を表現すること

━━デビュー16年目に突入した森山愛子さん。5月8日にリリースした13枚目のシングル『尾曳の渡し』は、前作『会津追分』に続くご当地ソング第2弾。群馬を舞台にした大人のラブソングをドラマティックに歌い上げ、5月20日付オリコン週間シングルランキング演歌・歌謡で自身初の1位を獲得した。

19歳でデビューして、20代は言われたことをこなすだけでいっぱいいっぱいでした。でも、30代になって、少しずつ大人の歌を歌うようになって、特に前作の『会津追分』からはグッと大人っぽい曲になりました。その頃からやっと歌うことの楽しさや奥深さを味わえるようになった気がします。もちろん、それまでも歌うことは大好きだったし、楽しかったけれど、より貪欲になって、もっとこう歌ってみたいとか、こう表現したい、こう伝えたいっていう気持ちがどんどん湧いているんです

━━そんな森山さんが“うたびと”として大切にしているのは、「気取らないこと」。

調子が悪いからといって誤魔化そうとするのではなく、その日その日の素の自分でぶつかって、ありのままの自分をいつも表現したいと思っています。ファンの方々とも家族みたいな感じで、娘や孫のように思ってもらえるような、身近な存在でいたいですね

━━そう考える背景には、経験から築き上げられた森山さんが目指す歌手像がある。森山さんは、高校1年生のとき、NTV系『ルックルックこんにちは』の“女ののど自慢夏休み女子高生大会”に出場。審査員だった水森英夫氏の目にとまり、デビューに向けて本格的なレッスンに通うようになったのだが、当時は、介護の仕事に就きたくて、専門学科のある高校で勉強中。スカウトされた後も、介護の夢も諦めきれず、どちらの道に進むべきか悩んだと言う。

そんなとき、水森先生から『歌うことも“福祉”につながるのでは』と言われて、確かにそうだって思ったんです。高校の実習で介護施設に行ったとき、それまでコミュニケーションを取ることが難しかった認知症の方が、私が耳元で懐メロを歌った瞬間、一緒に歌い始めてくれたり、あまり表情のなかった方が私の歌を聞いて笑みを浮かべてくれたり、歌の力ってすごいなって思うことがあったので。デビューした後も、ショッピングセンターやレコード店でキャンペーンをしていたとき、『お父さんの介護があるんだけど、どうしても(愛ちゃんに)会いたくて来たんだよ』って声をかけていただいたことがありました。その時、私の存在が外出のきっかけになってる、それも福祉と言えるんじゃないかなって。今も歌を通して皆さんの役に立ちたいという気持ちは大切にしています。特にご年配の方は昭和の名曲が思い出になっていると思うので、これからもいっぱいいっぱい覚えたいと思っています

歌い手を苦しめるのが演歌の魅力!?

━━一方で、演歌の魅力は? と聞いてみると、「難しいから」という意外な返答が。

演歌ってなんでこんなに難しいんだろうっていつも思ってます。言葉は悪いですけど、歌い手を苦しめるのが演歌の魅力かも(笑)。でも、私自身は、曲に対して、歌い方とかすごく悩んでいる自分が嫌いじゃないんです。詞に関しても、自分が経験したことのない世界がほとんどですが、水森先生に『自分で”演”出して”演”技して歌うから演歌なんだ』と教えられてきましたので、その気持ちをいつも持って歌っています。それがまた難しいけど面白いんです

━━そんな森山さんが憧れているのが事務所の先輩でもある坂本冬美さん。将来は坂本さんのような座長公演も実現したいと目を輝かす。

今も冬美さんの座長公演に出演させていただいていますが、毎日、冬美さんのカッコイイ姿を間近で見させていただいて、幸せだし、励みになっています。私、お芝居は下手っぴなんですけど、演じることは楽しいので、夢は座長公演なんです! 初めて冬美さんの座長公演に出演させていただいた時からそう思っていて、この夢だけはぜったい叶えたいと思っています。実は初めて冬美さんの公演に出させていただいた時、皆さんの前で、私のこの夢を話したら、泉ピン子さんからもっと頑張れという“叱咤激励”をいただいて。今もその時の言葉とアドバイスは忘れていません

 

━━「今後はジャンルにこだわらず、いろいろな曲にも挑戦したい」とも。その第一歩となる、徳永ゆうきさんとのデュエットによる『アラジン』の主題歌も発表した。

ミュージカル女優になった気分で、のびのびと気持ちよく、楽しんで歌わせていただきました! 徳永さんは声にすごく特徴があって、ハモリの部分では徳永さん流の節回しで曲に色をつけてくださっています。個性的な『アラジン』になっていると思いますので、皆様にぜひ、楽しんで聞いていただけたらと思います

憧れの先輩、坂本冬美さん(右)と

公演情報

「坂本冬美特別公演 泉ピン子友情出演」

場所:明治座(東京・中央区)

公演期間;2019年6月1日(土)~6月27日(木)

■電話でのチケット購入
明治座チケットセンター:03-3666-6666 (10:00~17:00)
■インターネットでのチケット購入
インターネット予約「席とりくん」:https://web.meijiza.com/sekitori/public/TicSelectTokyuAction.do?kogyoCode=000628

公演の詳しいレポートはこちら

関連キーワード