新たな“歌姫”田中あいみがデビュー 「師匠・細川たかしのように名前を言ったら日本中の人が知っているという存在になりたい!」
三山ひろし、中澤卓也らを輩出した『日本クラウン演歌・歌謡曲新人歌手オーディション』で2019年のグランプリに輝いた女子大生シンガー・田中あいみが11月10日、デビューシングル『孤独の歌姫』をリリース。
歌謡界に誕生した新たな“歌姫”に、これから始まる歌手生活への意気込みを聞いた。
――幼少のころから、歌謡曲や演歌を聴く機会が多かったということですが、ご両親が歌好きだったということですか。
私、3歳くらいのころから父親に連れられて、よくスナックに行ってたんです。お客さんが店の女の子とデュエットするのを聴いて過ごしたりしていましたし、母親は桂銀淑さんのファンで、車の中では繰り返し『すずめの涙』を聴いているような環境でした。
でも当時は歌手になろうなんてぜんぜん思っていなくて、子供のころは母親から「公務員になれ」って言われた影響もあって、警察官にあこがれていました。だから将来は警察官になるとばかり思っていて、歌は好きでしたけど、あくまで趣味で歌っていただけです。
――それがどこから歌手を目指すようになったのでしょう。
京都の実家の前に、日本クラウンの所属歌手、五条哲也さんが住んでいらして、父親が応援していたんですが、あるとき、五条さんから「そんなに歌が好きなら勉強してみてはどうか」と言われたことがきっかけで、歌謡サークルに入って歌を習い始めました。そこではカラオケの大会などに出てときどき優勝させていただいたりもしたんですが、(大会で)毎回顔を合わせる同じような子が他にもいて、その子に(デビューで)先を越されるということがあったんです。そしたらやっぱり悔しくて、“絶対、あの子を超える歌手になってやる”って思って。
もうそこからは公務員やめて(笑)、歌手一本にするって決めました。その後サークルの先生を通じて今回『孤独の歌姫』を作曲してくださった西つよし先生と知り合って、西先生から日本クラウンのオーディションを紹介していただきました。
――初めてのオーディションで一発合格というわけですが、それだけの歌唱力があれば、友だちとカラオケに行ったときなど、人気者だったでしょうね。
それが、友だちはやっぱりAKB48さんとか嵐さんとかJ-POPが好きで、歌謡曲好きな私とは話が合わないんですよ。着メロも長渕剛さんの曲にしてたんですが、(何の曲か)担任の先生しか分からないとか(笑)、文化祭なんかの打ち上げでカラオケボックスに行っても私の番になると歌謡曲を入れるものですから、皆、ドリンクバーに飲み物取りに行ってしまって。誰もいないめっちゃ広いとこで一人カラオケするっていう苦い思い出もあります(苦笑)。
――オーディション合格は18歳のときとお聞きしていますが、デビューまでの間はどんな生活を送っていたのですか。
オーディションに合格したといっても歌はあくまで趣味で歌っていた程度なので、プロとしての発声法や歌い方を身に着けなくてはいけないということになって、月に一回、東京のボイストレーナーの先生の教室に通ってレッスンをしていました。
そうしているうちにコロナ禍になってしまい、先生から課題を送っていただいて、今度は家でレッスン。何しろ実家がカラオケ喫茶をやっていますので、機材はあるし防音も完備されているし、やるしかないと思って毎日叫んでました(笑)。
やっぱり毎日声を出していると少しずつ自分の喉の調子が分かるようになってきます。これまでは、やみくもに歌っていただけなのですが、今日は調子悪いから控えめにしようとか、本当に歌わなきゃならないときにきちんと声が出るように調整できるようになりました。
――師匠の細川さんとはどんな出会いだったのですか。
師匠にはディレクターさんからの紹介でお会いして、面白いんじゃないかと思っていただいたようです。師匠の目に留めていただいて嬉しい限りです。
初めてお会いしたとき、「あいみ、そのままでいいんだよ。大丈夫だから自分の色が引き立つように努力しなさい」と言っていただきました。自分の持っている個性をそのまま伸ばしていけばいいんだという意味だと思うのですが、まさに私の好きな言葉「Let it be」という感じですよね。
――さて、デビュー曲『孤独の歌姫』ですが、お聴きして、ハスキーボイスということもあってか、70年代にヒットを連発された内藤やす子さんを思い出しました。
おっしゃるとおりで、私も初めてこの曲を聴かせていただいたとき内藤やす子さんの曲の雰囲気に近いものを感じました。あと、この曲の孤独な感じが藤圭子さんの世界でもあるなあと思いながら、でもそう思うと今の自分に表現できるのかと不安になってしまって。何といっても藤さんも内藤さんも大歌手ですから。
――曲の紹介資料に「人間臭さが魅力のこんな作品が、昭和の時代には確かにあった」とありますが、昭和の雰囲気やこの曲の持つ世界観は理解できましたか。
正直言うと最初、理解できなくて。何しろ(曲の舞台の)歌舞伎町には行ったこともありませんでしたから。恐い街というイメージだけはありました。それで歌舞伎町がどんな街で曲の中の主人公はどんなところで歌っているのか、曲の世界をイメージできないと歌えないということを痛感させられて、歌舞伎町が舞台で主人公がだんだん闇の世界に落ちていくようなストーリーの映画を観たりして、イメージを作るようにしました。
実際に歌舞伎町へ行ったのは、ミュージックビデオの撮影の時。印象ですか? 何か、一人で叫んでる人とかいて、これが関西なら「おっちゃん、何叫んでるの?」みたいに突っ込むところですけど、こっち(東京)の人は、皆、避けて避けてってなってるのが逆に気になってしまって……。でもそのときに歌舞伎町のイメージを自分なりにつかんで曲の世界を作ることができました。
――レコーディングでは、作詞のたかたかし先生などから何かアドバイスされたことはありますか。
最初やっぱり詞の世界を理解できていなかったので、たか先生から「まずは一つひとつの言葉を理解しないと歌えないよ。しっかり理解して初めて伝えることができるんだから」と言われました。その通りだなと思って、それからは主人公の感情をきちんと表現することを大切に歌うようにしました。
例えば“ジョージは墓場で 眠ってる”っていう歌詞も作り話じゃなくて本当にあったこととして感情を込めて歌わないと聴く人に伝わらない。そのために、自分の中でめいっぱい想像力を膨らませて、本当にあった事のようにストーリーを作る作業をしました。
――カップリングの『涙のリバー』は一葉さんの曲のカバーですが、オーディションのときにも歌ったそうですね。
『涙のリバー』は大阪弁なので親しみやすいし、やっぱり気持ちを伝えやすい気がします。でもこの曲も歌詞の内容が深くて、オーディションを受けた18歳のときは理解できませんでした。
この曲は、ただ彼氏からついて来いって言われないのが悔しいというだけじゃないんです。実はこの彼氏は兵士という設定で、戦争に行ったら死ぬかもしれないのに、私について来てくれって言ってくれない。それが悲しくて涙で御堂筋の車のライトが川のように流れて見えるという内容なんだそうです。深いですよね。
今回CDを制作するにあたって、改めてこの曲を西先生にレッスンしていただいたのですが、どんなに悲しい歌でも泣きすぎると逆に歌詞は伝わらないことを教わりました。歌は聴く人がその世界に浸りたいのであって自分じゃないということ。勉強になりました。
――プロフィールを見ると、目標はスーパースターとあります。大きな夢ですね。
師匠のように名前を言ったら日本中の人が知っているという存在になりたいです。この間、東京オリンピックがありましたけど、開会式でMISIAさんが『君が代』を歌われているのを聴いて、あの方が日本代表として国歌斉唱でよかったな、さすがだなって思いました。何十年後か先にまた日本にオリンピックがきたら、そのときは国歌斉唱できる歌手になっていたい、それが目標ですね。
でもその前に、現時点ではレコード大賞最優秀新人賞を獲ることを目指しています。そこはスタッフとも一致団結して必ず狙っていきたいと思っています。それから今回のCDジャケットはモノトーンですけれど、私はショッキングピンクが好きなので、ピンクの田中あいみとか違った一面もどんどん見せていきたいです。関西人ですし、トークやバラエティ番組なんかで別の自分を出していけたらと思っています。
――では最後に、まだ見ぬファンの皆さんに一言メッセージを!
ジャケット写真ではすごくやさぐれていそうなんですけれど、見た目で判断しないでください(笑)。
これからいろんな分野で活躍できるように頑張っていきますから、ぜひ田中あいみを好きになっていただきたいと思います。よろしくお願いします!
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田中あいみ『孤独の歌姫(シンガー)』
歌謡界期待の新星は、細川たかし門下の現役女子大生!日本一のソウルフル・ボイスを引っ提げ、遂にデビュー決定!
2021年11月10日(水)発売
品番:CRCN-8439
価格:¥1,350
【収録曲】
1.孤独の歌姫(作詞:たかたかし/作曲:西つよし/編曲:竹内弘一)
2.涙のリバー(作詞:相田毅/作曲:西つよし/編曲:川村栄二)
3.シニカル・レイン(作詞:たかたかし/作曲:西つよし/編曲:竹内弘一)
4.孤独の歌姫(オリジナル・カラオケ)
5.涙のリバー(オリジナル・カラオケ)
6.シニカル・レイン(オリジナル・カラオケ)