神野美伽主演、笠置シヅ子の生涯を描く舞台『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』が都内で8月1日開演! 前日リハと取材会の模様をお届け

歌手の神野美伽が、東京・文京区のIMM THEATERで8月1日(金)より上演の『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』に主演する。ブギの女王、笠置シヅ子の一生を歌と芝居と生演奏で描く本公演の開演に先駆け、前日の7月31日(木)にゲネプロ(通しリハーサル)と取材会が開催された。
本公演は2019年に大阪のCOOL JAPAN PARK OSAKA TTホールで初演され、6年ぶりの再演となる。神野は同公演での主演以来、コンサートやテレビなどで笠置の楽曲に精力的に取り組んでおり、また2024年4月には全編笠置シヅ子・服部良一の楽曲を収録したカバー・アルバム『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』をリリース。このたびも笠置シヅ子役として主演する運びとなった。
この日は主演の神野をはじめ、演出を手がけた白井晃、音楽監督の小原孝、出演陣から福本雄樹、九条ジョー、加藤虎ノ介、鈴木杏樹が取材会に登場、本番直前の思いを語った。
笠置シヅ子を知れば知るほど「私に授かった役なんだ」
まず、演出の白井があいさつ。「この作品『SIZUKO!』は、笠置シヅ子という日本を代表する歌手の人生を、神野美伽さんが演じるという形で作られた作品です。6年前に大阪の吉本さんの劇場、TTホールで上演させていただいて、ぜひ東京でもと思っていたのですが、パンデミックの影響などがあり、やっと実現することができました」と思いを語り、「音楽とお芝居が一体となったような作品。力強い共演者の皆さんと一緒に、楽しく、今の日本に元気と勇気を与えられるような作品に仕上がっていると思います。どうぞ皆さん、楽しんでいただければと思いますので、よろしくお願いいたします」とメッセージを述べた。
神野はまず「本当に6年近く待ちました。初演から千秋楽、その後コロナ禍が始まって。どうしてもこれは、自分の人生でもう一度取り組んでみたいと、6年間ずっと思い続けていました」と心境を語った。
そして、「6年前に笠置シヅ子さんの役をやりませんかって言ってくださって、正直に申し上げると『なんで私?』というところからスタートしているんです。ですけれども、笠置さんを知れば知るほど『あっ、私がやりたい、私に授かった役なんだ』と思って。ずっとそれを自負して、それを抱いたまんま6年過ぎました。どうなることやらと思っていたんですけど、その間に、前回の『SIZUKO!』の中から選んだ、笠置さんと服部先生の作品でアルバムを作ることもできましたし、6年間あってよかったと、今は思っています」と続けた。
今回6年越しの舞台を迎えるにあたっては「ちょっと思いもしなかった、朝ドラの『ブギウギ』(NHK)の放送が昨年あったりして、笠置シヅ子さんのことを、より多くの方が知ってくださった。もう一度これに取り組むっていうのは、とても意味のあることのように思っていました」と話し、「今年は戦後80年という年になるんだそうです。このお話の中では『使命』という言葉が何度も何度も出てくるんですけれども、このご時世、また、待っていたわけではないのですが、たまたま終戦の日が近いこの8月1日から上演ということになったのも、やはりこの作品が持っている役割があるんじゃないかなって、6年前には感じなかったことを今、感じながらやっています。(芝居では)『笠置シヅ子』としてしゃべりますけれど、『私(神野美伽)』のことばとしても、皆さんに伝わったらいいなというふうに、今は思っています」と、新たに感じた思いを話した。
続けて、共演の鈴木杏樹が「前回、6年前にこの作品をさせていただいて、本当に笠置さんがとにかくすばらしくて、なんてすてきな舞台なんだって。出ながらすごく楽しんでいて、またぜひこれを大阪以外の所でもできたらいいねってずっと話をしていました。笠置シヅ子さんのお墓参りにも神野さんと一緒に行って、もうなんとかこれをまた再演させてください、応援してくださいってお願いしてきて。なのできっと今回、見ていただいてるんじゃないかなと。私たちも心を込めてお芝居させていただけたらなと思っています」と話した。
加藤虎ノ介は「私は初参加なんですけど、本当に白井さんの演出がすごく楽しくて、いい意味でたくさん火をつけていただいて。あっという間の稽古で、なんかもう本当に楽しくて……それをこの夏、この座組で、全力で皆さんの目の前でやれたらと思っております。全力尽くします」と意気込みを語った。
福本雄樹は「笠置シヅ子さんのパワフルな曲に負けないように、神野さんを中心に、みんなで盛り上げて、楽しい舞台になればなと思います」と思いを話した。
九条ジョーは「僕も初参加で、稽古を通して仕上がったお芝居を何度も見てるんですけど、老若男女全員が楽しめる炊き込みごはんのような舞台になったなと思います。ミュージシャン、俳優さん、芸人と、いろんなアベンジャーズが集まって、ひとつのものを作り出すという。本当にすばらしい舞台になってますので、ぜひよろしくお願いいたします」と話した後、「……全員笑うまで言います。炊き込みごはんのような、そういった舞台になったなと思います!」と力強く重ねて、会場から笑いを誘った。
「全部が、びっくりするような発想の歌」
稽古を経て感じた発見や印象について問われた神野は、まず作中の楽曲について「今回歌う全部の曲が違うと思います」と語り、「この近年、特にテレビの番組では、笠置さんの歌をというと必ず歌わせていただくようになって。最近ではライブやコンサートでは、大変ずうずうしくもアレンジを変えたりもするのですが、(今回の舞台の)リハーサルのたびにいろんな発見があります。劇中ではピアノ一本で歌うシーンもあり、『あっ、これが歌なんだな』って。どれが難しいとか、どれが簡単というより、全て『あの時代に、よくこんな作品を作られたな』と。全部、びっくりするような発想の歌。一曲一曲、皆さんにご堪能いただければと思います」と話した。
コンサートと芝居の違いについて問われると、神野は「私が普段ライブやコンサートで(笠置シヅ子楽曲を)歌う時は、アレンジを加えています。歌の中で『笠置シヅ子さんのものまねをしよう』という思いは全くないんです。今回の舞台では、小原さんが原曲に近い形でアレンジしてくださっています」と、まずアレンジ面での違いを話した。
続けて、演じる上では「お芝居をしながら歌っていると、無意識に普段歌っている自分の声と違う声が出てきて、お稽古している中ですごく新鮮でした」と話し、「これは『テレビで歌いなさい』って言われてもできない。お芝居ってすごいなと思っています」と、その違いに新鮮な感動を受けた様子だった。
2019年の舞台の準備に際し発見された、幻の楽曲『大空の弟』
神野がこの舞台に触れるにあたって「今まで触ったことのない音楽」と話すのが、2019年に発掘された幻の曲『大空の弟』だ。この曲は笠置が松竹に加入するのと時を同じくして1938年に日中戦争に出征し、1941年に戦死した弟・亀井八郎を偲んで作られ歌われた歌で、劇中では八郎との手紙のやり取りを通して、その心情が印象的に描かれる。
同曲は、大阪公演の制作中に服部良一の楽譜を保管する倉庫から発見され、本公演の音楽監督でこの日も登壇した小原孝が書き起こした作品だ。神野は「手紙のやり取りであるとか、日本のその時代にこういうことがあった上で、いま私たちが存在しているんだなということを思わせてくれるような作品。まさかこういう作品を歌手として歌うことになるとは……ただそこも、私の所に来てくれた作品だと。偶然、本当に偶然、倉庫で楽譜を見つけてくれたんですね。それもやっぱり、何か役割があるんだと思います」と思いを語る。
小原は「『ブギウギ』のドラマでも話題になりましたけれども、そのときはテレビサイズで放送されていたので、今回はフルサイズでちゃんと聴かせて、本当にそれがすごい重要なポイントになっておりますので、ぜひ聴いていただけたらうれしく思います」と話していた。
なお、NHKの朝ドラ「ブギウギ」について神野は「放送してくださった半年間、笠置シヅ子さん、それから服部良一先生の音楽をひもといてくれたことに、本当にありがたいと思っています。ある意味、この再演の後押しをしてくれた一面もあると思っておりますので」と感謝を述べ、「俳優さんである趣里さんがお歌を歌われるというか、歌手の私が歌うんじゃなくて、俳優さんがあれだけ笠置さんの作品に取り組まれたこと、すべて録画して拝見しましたけど、すばらしいなと思いました。私はっていうと、演じることをずっとやってきた人間ではないので、逆なのですよね。ですから、テレビご覧になられた方も、それぞれの立場で演じている姿を楽しんでもらえたらなと思います」と話していた。
稽古を通した、本公演の見どころ
今回の座組について、演出の白井は「楽しい俳優の皆さんがいらっしゃって、そして小原さんを中心としたミュージシャンが、しっかりとそれを支えてくださっている、本当にありがたい」と話す。稽古について「おもしろい方々が多くて、いろんな意味で楽しんでおります。1回いいところに行ったと思ったら、次の日にまた戻ったり。3歩進んで2歩下がったり、5歩進んだと思ったら、6歩ぐらい下がったり。だからといって、ほっといたら急になんか10歩ぐらい先に行ってくれたりとかっていう」とエピソードを披露すると、神野がすかさず「それ、私や!」と明るく反応し、会場は笑いに包まれた。
続けて白井は「この暑いこの時期に、こういうホットな作品に関われているのは、演劇を担っている人間として、本当にありがたいチャンスだなと思っています」、音楽監督の小原も「今回は服部良一の音楽のパワー、それから白井先生の音楽の使い方にも刺激を受けています。役者とミュージシャンと、それからセットとが一体化していて、我々も劇の中に入り込んでいるという気持ちになれる作品で、すごく画期的だと思っております」と意気込む。
会見は登壇者からも記者陣からも終始笑顔が絶えず、現場の和気あいあいとした雰囲気が伝わる取材会だった。
いよいよ8月1日開演、舞台のリハーサルの様子をお届け!
取材会を終え、いよいよゲネプロへ!
ステージは日本コロムビアのレコード盤をモチーフにしたセットを中心に、当時を思わせる笠置シヅ子楽曲のタイトル看板風文字で彩られレトロで楽しい雰囲気。トランペット、トロンボーン、サックスの管楽器3管、ドラム、ギター、そして小原のピアノからなる生バンドがステージに登場すると、笠置シヅ子の代表曲『東京ブギウギ』のインストゥルメンタル演奏と共に華々しく開幕した。
舞台は第一幕、第二幕から構成され、第一幕はデビュー前から戦中期までのエピソードが、神野演じる笠置シヅ子とそれを取り巻く人々、そしてその生涯が歌と笠置のモノローグを交えながら描かれる。
宝塚音楽学校への受験失敗から大阪松竹少女歌劇団への加入、東京の松竹楽劇団への参加と弟・八郎の日中戦争出征、服部良一と出会い、成功へのステップを駆け上がる姿、母の死、戦争に向かう日本の中でジャズを歌うことへの苦難、そして八郎の戦死までが、時代時代の代表曲の演奏・歌唱とともにドラマチックに描かれる。
特に弟・八郎の出征からの、笠置との間で交わされる手紙のやり取り、悪化する戦況や環境、そして八郎の悲劇的な死、それに続いてピアノの小原と神野の歌によるデュエットにより披露される『大空の弟』は圧巻で、本公演の大きなハイライトだ。
第二幕は、第一幕で笠置が知り合い懇意となるラクチョウ(娼婦)のユキが、老後の昭和56年に病院から過去を振り返る形で開幕。第一幕と同様に演技と歌、そして神野演じる笠置のモノローグによって、戦中期から戦後の活動、そのさなかの吉本穎右(えいすけ)との恋と死別、娘・ヱイ子の誕生、代表曲『東京ブギウギ』の誕生と大ヒット、その後の突如とした歌手引退、そして晩年まで、その波乱万丈の半生が描かれる。
第二幕も『東京ブギウギ』の華やかな演奏と歌唱はもちろんのこと、それに至るまで、その後の人間模様や人生のコントラストが楽曲や歌唱で見事に表現されており、第一幕のドラマチックさと共に大きな見どころ。芝居後に披露される笠置・服部の名曲の演奏と歌唱も見事だ。
ステージ全体を通じて、出演陣の演技の力はもちろん、小原孝のアレンジにより奏でられる笠置の名曲の数々が、時に楽しく明るく力強く、時に悲しく情緒的にステージを彩り、そこに神野の備えた抜群の歌唱力と、2019年の初演から笠置シヅ子・服部良一作品に取り組み歌い続けてきたことによる円熟みが合わさって、大きな感動を呼ぶ珠玉のステージとなっており、本公演への期待が高まる素晴らしい内容となっていた。
公演は8月1日から11日までの11日間・15公演! アフタートークショーも開催
本公演は、8月1日(金)16時開演のステージを皮切りに、11日(月・祝)までの全15公演。本公演に加えて、8月2日・4日・5日・7日・9日の夕方の部の終演後には、出演陣・作家陣とゲストが対談する、アフタートークショーも以下のように開催される。
8月2日(土)18:00公演
脚本家 ・マキノ ノゾミ × 演出家 ・白井晃
8月4日(月)18:30公演
演出家・白井晃 × 作曲家・服部隆之
8月5日(火)18:00公演
俳優・國村隼 × 俳優・キムラ緑子
8月7日(木)18:00公演
鈴木杏樹 × 藤井隆
8月9日(土)18:00公演
福本雄樹 × 九条ジョー × 加藤虎ノ介
公演の内容はもちろん、それにまつわるエピソードや豪華ゲストのトークなど、こちらも見逃せない内容だ。
神野美伽が仲間とともに長年取り組み続けてきた、笠置シヅ子と服部良一の音楽の世界。本公演は、間違いなくその集大成と言って過言ではない。ファンのみならず、NHK「ブギウギ」でその世界に触れた方も、間違いなく楽しめるステージ。ぜひ劇場に足を運んで、その素晴らしさを体感されたい。
『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE~ハイヒールとつけまつげ~』
出演:
神野美伽
福本雄樹
九条ジョー
加藤虎ノ介
鈴木杏樹
ミュージシャン:
小原孝(音楽監督/Piano)
ASA-CHANG(Drums)
竹中俊二(Guitar)
小松悠人(Trumpet)※8/1~7出演
河原真彩(Trumpet)※8/8~11出演
宮崎佳彦(Saxophone)
西村健司(Trombone)
脚本:
マキノノゾミ
演出:
白井晃
音楽監督:
小原孝
企画・プロデュース:
尾中美紀子/オフィス100%
劇場:
IMM THEATER
東京都文京区後楽1-3-53(東京ドームシティ内)
主催:
LIVE FORWARD
制作:
吉本興業 / よしもとブロードエンタテインメント
公演日程:
8月1日(金)
①開場15:30/開演16:00
8月2日(土)
②開場12:30/開演13:00
③開場17:30/開演18:00★
8月3日(日)
④開場12:30/開演13:00
8月4日(月)
⑤開場18:00/開演18:30★
8月5日(火)
⑥開場12:30/開演13:00
⑦開場17:30/開演18:00★
8月6日(水)
⑧開場15:30/開演16:00
8月7日(木)
⑨開場12:30/開演13:00
⑩開場17:30/開演18:00★
8月8日(金)
⑪開場15:30/開演16:00
8月9日(土)
⑫開場12:30/開演13:00
⑬開場17:30/開演18:00★
8月10日(日)
⑭開場12:30/開演13:00
8月11日(月)
⑮開場12:30/開演13:00
★・・・アフタートーク付き
アフタートーク ラインナップ:
8月2日(土)
マキノノゾミ× 白井晃
8月4日(月)
白井晃×服部隆之
8月5日(火)
國村隼×キムラ緑子
8月7日(木)
鈴木杏樹×藤井隆
8月9日(土)
福本雄樹 × 九条ジョー × 加藤虎ノ介
チケット:
<前売>
一般席:9,800円(税込)
U-25席:6,800円(税込)
ペア席:18,600円
神野美伽with ALL STAR JAZZ BAND『SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE』
発売中
品番:KICX-1172
価格:¥3,500(税込)
【収録曲】
1.ジャングル・ブギー
2.ラッパと娘
3.センチメンタル・ダイナ
4.ブギウギ時代
5.買物ブギー
6.大阪ブギウギ
7.ホット・チャイナ(SIZUKO!QUEEN OF BOOGIE Ver.)
8.ヘイヘイブギー
9.オールマン・リバップ
10.東京ブギウギ
11.大空の弟(音楽劇「SIZUKO! QUEEN OF BOOGIE ハイヒールとつけまつげ」LIVE録音)ボーナストラック
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