愛しのレコードジャケット<三波春夫と音頭>編#2

2019.4.26

アナログレコードをこよなく愛するコレクター・もりしげゆき氏が、ジャケットデザインという観点から、演歌・歌謡曲のレコードを紹介する特集「愛しのレコードジャケット」。
歌謡界に多くの金字塔をうちたてた国民的歌手・三波春夫が歌った数々の「音頭」をテーマにした特集の第2弾となる今回は、かなり異色なテーマを歌う音頭たちだ。

こんなものまで?!を「音頭」というスタイルで魅せる

三波春夫が歌う音頭は、前回の#1で紹介した国民的行事のテーマソングだけではなく、とんでもなく幅広い。
「宇宙」といった未来的なものから「政治家」、さらには「ダジャレ」まで、音頭に昇華させているのだ。
たとえば「21世紀の宇宙音頭」では、三波春夫自らが歌詞を書き、宇宙と地球の素晴らしさを独特の表現で歌い上げている。
また音頭ながらに、どことなくスペーシーな音作りもたまらない。

 

続いて、「田中音頭」は同郷の政治家であり首相になる前の田中角栄のために歌った音頭だ。
“わしも田中じゃおまえも田中”の歌詞に、田中角栄と故郷新潟への敬愛の情が感じ取れる。

 


極めつけは「温度音頭」。なんとダジャレである(笑)
天ぷらやパン、お風呂、熱燗、煙草、はては火事まで…さまざまな「温度」と「音頭」をかけた永六輔のユーモア溢れる歌詞と、それをご陽気に歌う三波春夫が心にくい。
サビに出てくる”いい温度”、“いい音頭”の部分は一度聴いたら耳から離れないうえ、なんとも心温まる気持ちにさせられる一曲だ。

こうしてみると三波春夫の「音頭」は遊び心が満載で、聴く者の気持ちを明るくしてくれる楽曲ばかりである。
次回は、テレビドラマやアニメなどとコラボしたを音頭たちを紹介する。
(写真提供・文/もりしげゆき)

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