愛しのレコードジャケット <洋楽の日本語カバー> 私のイチオシ・隠れた名盤編
前回から特集している「洋楽の日本語カバー」シリーズ。
シリーズ2回目となる今回は、<私のイチオシ・隠れた名盤>と題し、マニア受けするカバーレコードを紹介したい。
なお、洋楽カバーブームの歴史については、前回記事<有名人編>でも解説しているので、是非チェックしてほしい。
マニア受けする日本語カバーレコードとは?
日本語カバーの中には、意外な曲をカバーしたり、奇抜なアイデアの企画ものなど、いわゆる一般受けではないがマニアが喜びそうなものがある。
そのような「隠れた名盤」は探すのも一苦労だが、発見した時の喜びはひとしおである。
ジンギスカン/原たかし&バットマンズ
R.Siegei-B.Meinunger‐C.Dornaus 訳詞:カルメン
ドイツから世界的ヒットとなったディスコソング「ジンギスカン」には、5カラットや川崎麻世などが日本語カバーを出しているが、私のお気に入りは原たかし&バットマンズのバージョン。
原たかしの儚げなボーカルがオリジナルの陽気さを打ち消して、日本的ワビサビを感じさせてくれる1曲。
ケアレス・ウィスパー/橋本和美
作詞・作曲:George Michael-Andrew Ridgely 日本語詞:荒木とよひさ
ワムの「ケアレス・ウィスパー」は西城秀樹、郷ひろみが競作し話題になったが、実はもう一人日本語カバーにチャレンジした歌手がいた。それが橋本和美である。
オリジナルとは異なる色っぽい歌詞に加えて橋本の歌も妙に艶めかしい。
聴けば聴くほど彼女の虜になること間違いなしだ。
ういろThe World/ローカルスターfor AFRICA
作詞:河原龍夫・織田慎一郎 作曲:河原龍夫
マイケル・ジャクソンなどアーティストが集結してアフリカの飢餓を救うために制作された「We Are The World」 のパロディ盤として、「中京テレビ」の番組企画で制作された。
「ローカルスター for AFRICA」は、北区の矢沢永吉、尾張旭の桑田佳祐、愛知学園大の中森明菜など揃いも揃って濃すぎるローカルキャラたちなのだが、中には「弥冨の海運寺住職」「杁中の中華おじさん」など、ほんとにローカルな人たちもいて楽しい。
悲しき天使/広川あけみ
作詞・作曲:ジーン・ラスキン 訳詞:漣健児
ビートルズの秘蔵っ子と言われたメアリー・ホプキン「悲しき天使」とビートルズの代表曲「ヘイ・ジュード」のカバーが1枚に収まっているという、ビートルズマニアで日本語カバーコレクターにとっては奇跡の1枚。
広川あけみは、数多くの海外ドラマの吹き替えで有名なタレント広川太一郎の妹というのもポイントが高い。
めざせモスクワ/ バオバブ・シンガーズ
作詩:Bernd Meinunger 作曲:Raiph Siegel 訳詩:ケイ・ふじやま
1980年に開催されたモスクワ五輪にあやかり、人気アニメの声優たちが集結してジンギスカンの「めざせモスクワ」をカバーしたレコード。
富山敬、小原乃梨子、野沢雅子ら多くの声優が参加しており、歌詞に各メンバーの代表作のアニメのタイトルを入れて歌ったり、途中で決め台詞を入れるなど昭和のアニメファンにはかなりの感動ものである。
マンダム~男の世界/斎藤任弘
作詞:多木比佐夫~鞍井修一 作曲:マット&ハワード・ケイン
「君、あごに何かついてるよ」
「え?」(手をあごにそえる)
「う~んマンダム♩」
私と同じ年代の方なら、子どもの頃絶対にやったであろういたずらである。
チャールズ・ブロンソンの「マンダム」のCMは、子ども心に格好良く、バックに流れていた曲も印象的だったが、日本語カバーがあるとは大人になるまで知らなかった。
ゆうわく EL BIMBO/ローレン中野 和田弘とマヒナスターズ
作詞:なかにし礼 作曲:クロード・モーガン
ポール・モーリア楽団の「オリーブの首飾り」といえば、イージーリスニングミュージックのスタンダードだが、その曲に歌詞をつけムード歌謡風にアレンジするという、まさに「その発想はなかった」の1曲。
ローレン中野はハワイ生まれ日系三世の18歳。
若い歌手をムード歌謡界の雄マヒナスターズがしっかり支えている。
<洋楽の日本語カバー>シリーズは今回で最終回。
次回シリーズでも、アナログレコードの魅力を存分に紹介したい。