愛しのレコードジャケット <明治・平成編~元号をテーマにしたレコードたち~>

2019.7.26

先日、母とその友人3人を車に乗せて出かけたときのこと。
誰かのスマートフォンから、「川の流れのように」の着信メロディが鳴りだした。
電話を終えた後、母たちは「やっぱりひばりはいいわねー」と言い、車内はひばりさんの話題で大いに盛り上がった。
まるで、推しメンの話ではしゃぐ女子高生のようである。
昭和から平成、令和と移り変わっても、母たちにとってひばりさんはアイドルなのだなぁと、運転をしながら思った。

前回は、「昭和」をテーマにしたレコードを紹介した。
昭和に生まれた歌謡曲は、昭和をテーマにした歌を数多く輩出している。
では、昭和以外ではどうだろう。
今回は明治、大正、平成をテーマにしたレコードに焦点を当ててみる。

明治、大正をテーマにしたレコード

明治一代女/美空ひばり
作詞:藤田まさと 作曲:大村能章


ある殺人事件を元に、小説家川口松太郎が書いた同名の小説が題材となっている。
オリジナルは芸者歌手として活躍した新橋喜代三だが、多くの歌手がカバーするなど人気の高さがうかがえる。
ジャケットは、美空ひばりのカバーバージョン。
当時の風景を織り込んだ歌詞を、ひばりさんが情緒たっぷりに歌いあげている。

明治の前夜/三波春夫
作詞:北村桃児 作曲:陸奥明


「明治の前夜」は、明治維新の英雄である西郷隆盛と勝海舟の活躍を、”僕らの国民歌手”三波春夫が高らかに歌い上げている。
浪曲師としても活躍した三波先生は、「歌謡浪曲」として忠臣蔵や伊達政宗をドラマチックに歌っている。
歴史上の人物を歌ったら、三波先生の右に出る歌手はいないのだ。

大正生れ/西村晃
作詞:小林朗 補作詞:西村晃 作曲:大野正雄


二代目水戸黄門として知られる名優西村晃が、大正生まれとしての人生経験を歌っている。
西村黄門様の歌声はほのぼのとして、聴いていて心地よい。
ジャケットの姿も実におしゃれで、年を取ったらこういう老人になりたいと思わせる。

そして平成へ

平成音頭/北島三郎
作詞:星野哲郎 作曲:原譲二


「与作」「まつり」など多くのヒット曲を送り出した北島三郎が、平成元年に発表した音頭。
北島御大の歌声は、新時代の到来をうたう歌詞とよくマッチしている。
御大は、この30年後に「令和音頭」を出している。

平成5・5音頭/村田英雄・坂本冬美
作詞:石本美由紀 作曲:猪俣公章


村田英雄芸能生活55周年を記念して制作された音頭。
坂本冬美がデュエットで参加し華を添えている
強面イメージの村田先生だが、美人の坂本の隣で思わず表情も緩むというもの。
記念盤らしく、明るく楽しくうたう村田・坂本の豪華コンビは息もぴったりだ。

 

次回は、制定されてから早くも出ている「令和」と、2000年問題で揺れたのも今は昔の「西暦」のレコードを紹介しよう。

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