愛しのレコードジャケット <世紀・令和~元号をテーマにしたレコードたち~>

2019.8.9

先日、市役所に行ってパスポートの申請をした時のこと。
申請書の日付欄には、印刷された平成の文字に取消線が引かれ、その上に令和の文字がゴム印で押されていた。
あ、元号が変わったのだなと、あらためて実感した瞬間だった。

元号にまつわるレコードの最終回は、元号ではないが「世紀」と、早くも登場した「令和」を紹介する。

世紀のレコード

私が子どもの頃、21世紀といえば、テクノロジーが発達した未来として想像するだけでわくわくしたものだ。
その一方で、五島勉の「ノストラダムスの大予言」がベストセラーとなり、友達と「1999年7の月に恐怖の大王が来るって」と噂をしながら世紀末の到来を恐れていた。
そのせいだろうか、新世紀への希望と世紀末を迎える不安は、当時発売されたレコードにも表れていた気がする。

二十世紀の終りに/ヒカシュー
作詞・作曲:巻上公一


P-MODEL、プラスチックスと共に「テクノ御三家」として注目されたヒカシューのデビュー曲。
サンプラーやリズムボックスを駆使したテクノサウンドと、二十世紀末に対する独特の世界観を表現した歌詞が非常に印象深い。
当時私は、たまたまテレビでデビュー直後のヒカシューのパフォーマンスを見たのだが、あの時の衝撃は今でも忘れられない。

もうすぐ21世紀/岬慎治
作詞:町田事己 作曲:三浦阿紀良


21世紀への期待と希望を歌った音頭的な演歌だが、このレコードのポイントは何と言ってもジャケット。
「自衛官募集」のポスターのように、斜め上を指差して立つ岬の姿はインパクト絶大だ。
「もし大ヒットしたとしても21世紀になったら歌いづらいよなー」という余計な心配も含めて、お気に入りの1枚である。

 

21世紀まで愛して/水谷麻里
作詞:松本隆 作曲:筒美京平


80年代アイドル歌手と活躍した水谷麻里のデビュー曲。
松本隆、筒美京平コンビによる王道のアイドルソングだが、歌詞に「ワープロ」「ラジコンロボット」「タイムマシン」などの21世紀っぽいワードがちりばめられていている。
水谷の歌は、デビュー曲らしく溌剌として元気いっぱい。
聞いていると思わず応援したくなってしまう。

令和のCD

新元号「令和」が発表されたのは4月1日。
その一ヶ月後、「まあそんなに早くは出ないだろう」と思いながらも、Amazonで令和にまつわる楽曲を検索したところ、意外にもいくつかのCDがヒットした。
トレンドに敏感な音楽業界とはいえ、仕事早すぎ!!である。
その中から、業界一アグレッシブなグループと大御所の1枚を紹介する。

令和/ゴールデンボンバー
作詞・作曲:鬼龍院翔


新元号発表に真っ先に反応したのがゴールデンボンバー(通称:金爆)である。
金爆は令和発表と同時に新曲の制作とジャケットの撮影を行い、わずか2時間でMVの公開と新曲配信という離れ技をやってのけた。
曲はあらかじめ新元号の部分を空けて大部分を制作していたとはいえ、短時間で作ったとは思えないゴキゲンなダンスミュージックである。
MVでは、サビの部分でDA PUMPの「U.S.A.」を彷彿とさせるダンスを披露しているのも見どころだ。

 

令和音頭/北島三郎
作詞:麻こよみ 作曲:原譲二


平成編で紹介した「平成音頭」に続き、北島三郎が放つ正調の音頭である。
力強いこぶしで歌う音頭は令和時代への明るい希望に満ち溢れており、聞いていると元気が湧いてくる気がする。
三波春夫先生がいない今、おめでたい音頭が似合う歌手は北島御大だけだと思う。

 

いかがだろうか。
3回に分けて元号にまつわるレコードを紹介してきたが、いつの時代も普通に音楽を楽しめる平和がずっと続いてほしい。

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