中澤卓也 「僕の声が出なくなるまで歌い続けていきたい!」 チャンネル銀河で「中澤卓也コンサート ~5年分の引き出し 歌の和洋折衷~<洋の世界>」を放送!

2022.3.29

外部の演出家とのタッグで新たな景色が見たい

――コンサートでは布施さんをほうふつとさせながらも、ご自身の個性も発揮された世界が展開されましたが、カバーソングを歌うことはオリジナルソングにはない面白さがありそうですね。

オリジナルソングで中澤卓也の世界観を感じていただくのは当たり前ですが、カバーソングの場合は、名曲になればなるほど、原曲の歌手のイメージがありますので、そこに中澤卓也を感じてもらうことがテーマですね。オリジナルでもカバーでも曲に向き合う際のエネルギーは同じですが、テーマがちょっと異なるという感じでしょうか。

――今後、挑んでみたいカバーソングや音楽ジャンルはありますか。

デビューから今まで、コンサートの構成やセットリストなど、本当に自由にやりたいようにやらせていただきました。YouTubeの「歌ごころ」企画でも100曲をアップし、5年間で自分の表現したかったことをたくさん実現できたと実感しています。今僕の中では、これまでセルフプロデュースしてきたことを、信頼できる方にあえてお任せしたいと考えています。ふつうは順番が逆なんでしょうけど(笑)。これまでのように自分一人で考えていたらセーブして、『雪』や『行かないで』がセットリストに入ってくることもなかったと思います。今年は6月から全国ツアーを予定していますが、今回演出を担当してくださった方と再びタッグを組みます。自分では発想できないような、どんなことが見えてくるんだろうという楽しみが大きいですし、この5年間で培った限界値をさらに超える新たな景色を引き出していただけるのではと感じています。

野口五郎との出会いで広がった新たな境地

――洋コース二部は、3rdシングル『冬の蝶』から幕を開け、『Summer Dreamer』『江の島セニョリータ』『青山レイニーナイト』『東京タワー』と、シングルのカップリング曲が続きました。なかでも『青山レイニーナイト』は、今までコンサートであまり披露されなかった曲とか。

ふだん歌わない曲を歌うと、ファンの方も喜んでくださるとステージ上からも感じました。オリジナルソングも和と洋でほぼ異なる曲を歌ったのですが、洋の方ではノリのよい楽曲を集めました。

――オリジナルソングで構成されている二部の中盤に、1曲だけ野口五郎さんのカバーソング『琥珀色の日々』をもってこられました。この曲が自分の新たな扉を開いてくれたと発言されていましたが、どういうことでしょう。

この曲のレコーディングの際(アルバム『繋ぐ Vol.3』収録)、五郎さんが来てくださったのですが、五郎さんにはまず事前に収録した仮歌を聴いていただきました。自分の歌い方は、低音から高音へ一気にハイトーンに上げるとき一瞬裏声になるんです。あえてやっているのですが、五郎さんは仮歌を一聴してそれを瞬時に理解したうえで、この一瞬裏声にするのをやめて歌ってみてくれないかとアドバイスいただいたんです。今までのレコーディングではやったことがなかったのですが、改めて収録した音源を聴いたところ、自分の歌声がこれまでとはまったく違って聴こえたんです。一瞬裏声を入れるとエッジが効いたような感じになりますが、それを封印すると、歌がまるくなり、全体が柔らかな印象に仕上がるんです。また曲の終盤、サビをくり返すリフレインの部分では、小節から次の小節でブレスを入れるところをノンブレスでつなげて歌ってみることをご提案いただきました。それは歌い手の呼吸で聴き手も一緒に呼吸をして歌詞の世界を理解しているから、ブレスのタイミングをずらすことで、ちょっとドキドキするような、いい意味での裏切りが生まれ、この後どういう展開になるのだろうと今まで見ていた物語の景色が切り裂かれるような変化が起きることだと思うんです。これまでの僕は間を大事にするあまり、聴き手を裏切るという発想にはなりませんでしたし、今までにはない感覚を味わせていただきました。

――五郎さんからの助言を受けたことで、これまでリリースされてきた曲も、今後のコンサートでは、CDで聴くのとは異なる印象を受ける可能性はありますか。

いい意味での裏切りという言葉を五郎さんから教えていただいたことで、実際コンサートやイベントなどでは、自分のオリジナルソングもあまりCD通りには歌わなくなっています。お気づきの方もいるかもしれませんが、間の取り方、言葉の置き方や走らせ方などを結構変えています。今回の洋コースでも『約束』『Summer Dreamer』『江の島セニョリータ』などは、ちょっとした差ですが、CDの歌い方とは違うと思います。

――今後のコンサートで、中澤さんの歌がどのように変化していくのか注目ですね。

そういう目で見ていただけたら面白いと思います。僕をデビュー時から応援してくださっている方は、なおのことそういう聴き方をすると楽しいかもしれません。会場の空気感などによって、CDでの歌い方に忠実に歌う場合もありますし、今日の中澤卓也はどっちバージョンで歌うんだろうなって予想していただくのも、新たな楽しみ方にしていただければと思います。

コロナ禍で思いが深まったファンとの絆

――和洋両日とも歌われたオリジナルソングの一つが、6thシングル『約束』でした。人の絆をテーマにしたこの曲をコロナ禍のこの1年間、歌い続けてきました。

コロナ禍になる前と比べると、コンサートや撮影会などのイベントも激減して、ファンのみなさんと直接触れ合う機会が少なくなりました。物理的な距離感を保たないといけないなかで、みなさんが応援し続けてくださるのは、やはり音楽がつないでくれたからだと思うんです。会えなくてもつながっているという『約束』のサビのフレーズの通りではないでしょうか。コロナ禍と並行して戦争の辛いニュースも報じられている現在、人とのつながりや絆をテーマにしたこの曲をこれからも大切に歌っていきたいと思います。

――アンコールの最後は定番の『ありがとうあなたへ』でした。改めてファンの方への思いを聞かせてください。

2daysコンサートが実現できたのも、ファンのみなさんがいてくださったからです。ファンの方の熱量や、その顔を思い浮かべることで、2daysコンサートも実現に向けてさまざまな発想が生まれてきました。次は30歳になるときが歌手としてもう一段上がれるタイミングなのかなと感じています。歌手としての中澤卓也はもちろん、一人の人間として30歳を迎えたときの中澤卓也がどう成長しているかも見ていただければと思います。僕のステージに立つ楽しみは、お客様とのキャッチボールです。最近は、ステージからお客様にいろいろなことをうかがうようにしています。いつも応援してくださり、ありがとうございますというのは当たり前。今後大きなステージに一つずつ立っていくことで恩返しをしながら、ファンのみなさんとアットホームで楽しい場所を作りながら、僕の声が出なくなるまで歌い続けていきたいです。

――今回のコンサートでファンの方から特に反響のあった曲などはありますか。

やはり『行かないで』と『カルチェラタンの雪』は、かなり反響がありました。『行かないで』については、あれだけファルセットを使って歌っている僕を見たことがないという感想をたくさんいただきました。『カルチェラタンの雪』は、数年前に歌ったときとの違いをよかったと感じていただけた方が多かったようです。

次ページではトレーニングやモータースポーツなどの趣味についてさらに語る!!

関連キーワード