二見颯一が5周年記念第2弾シングル『罪の恋』をリリース 「初めての大人のラブソング、僕の新しい魅力を発見していただけたら」

2023.11.2

若き民謡の歌い手として数々の大会を制覇してきた二見颯一が、いわば〝ドラフト1位〟でレコード会社に指名され、やまびこボイスを武器にデビューして早5年。今年4月には5周年記念作品第1弾『一里塚』を、そして10月には同第2弾として『罪の恋』(c/w『さよならの街角』)をリリース。25歳を迎え、これまでのフレッシュな青春演歌から脱して、初めて大人のラブソングを歌う二見に、新曲にかける想いとデビュー5年目の決意を聞いた。


――デビュー5周年の記念曲第1弾『一里塚』からずいぶん方向が変わって、『罪の恋』は歌詞の内容も曲調もこれまでにない大人の演歌です。この曲を手渡されたときの感想から聞かせてください。

まずタイトルを見て間違いではないかと思いました。水森(英夫)先生が門下生の他の方に書いた曲の楽譜を僕に渡したのではないかと思って(笑)。歌詞の内容も大人っぽいですし、男女の恋の掛け合いも意味深。これ本当に僕が歌うんですかと聞いたのを覚えています。水森門下で言えば松尾(雄史)先輩や青山新さんが歌うタイプの曲ですから、これを僕がどう表現できるか、楽しみでもあり不安でもあったというのが本当のところです。

――水森先生は今回なぜ二見さんに大人の演歌を歌わそうと思ったのか、お聞きになりましたか。

今年でデビュー5周年を迎えたのですが、先生は、これからは周囲の方もファンの皆さんも二見颯一をもう大人という目線で見るはずだし、成長した姿が見たいという要望も自然と増えてくるはずだから、まずは曲調からして違う大人のラブソングに挑戦させようと思ったとおっしゃっていました。

――タイトルから、曲の中のふたりは不倫関係かなと想像しますが、いつも曲をきちんと〝分析〟する二見さんとしては、今回はどんなふうにストーリーを組み立てていますか。

ふたりの背景はどんなふうにでも考えられますし、主人公も年上の女性の年齢もいくつであっても構わない。これまでの曲のように舞台は駅のプラットホームで、夜何時くらいでというような具体的な設定ができない分、難しいなと思いました。ただ、詞を書いてくださった麻(こよみ)先生が、主人公は僕と近い年齢で、若さゆえの勢いと、その勢い余っての危うさを持っているということは話してくださいましたので、お互い思い合ってはいるけれど、ただ一途に思っている男性と他にお相手がいる女性という関係で、ふたりはそれぞれ抱えているものが違うんだろうなとは想像して歌っています。

――そういう意味ではシンプルながらとても深い歌詞ですね。

「心ひとつに 愛しても」という冒頭の歌詞も、ふたりの心がひとつになってという意味と主人公の男性が一途に愛しているというふたつの意味が含まれていて、男女の想いが、きれいな言葉で綴られているなと思いました。もちろんどちらの意味も正解ですから、皆さん一人ひとりの解釈で聴いていただいければと思います。

――歌唱に関してはどんなことをポイントにしていますか。

技術的なことで言えば、今回はあまり音符を追って歌うのを止めようと思いました。例えば最後の行の「あゝ罪の恋」の部分。1番では「あゝ」を、音を無くして息だけで歌い、2番では音を乗せています。今回は楽譜通りじゃないことも思い切ってやりました。この曲は「あなた あなた」から「いけないわ」までの真ん中の2行が、1~3番まで同じ歌詞ですので、それくらいやらないとメリハリがつきませんから。表現という意味では、「あなたは年上の女」と思っているのは男性で、「いけないわ」と言っているのは女性ですから、ここは第3者的な目線で見るようにしようと意識しています。

――作詞の麻先生とは初めてタッグを組まれたわけですが、一緒に仕事をするにあたってどんなお話をされましたか。

僕の中に水森門下といえば麻先生の作品というイメージがあって、ずっとお会いしたいと思っていましたので、今回やっと先生に書いていただけてすごく嬉しかったです。先生からは、今回の『罪の恋』は正直、二見君のイメージにはない詞だけれど、自分はこれまでとは違った表情が見たかった。二見君の新しい一面を掘り起こすきっかけになれたら嬉しいとおっしゃっていただきました。

――妄想でもいいのですが、二見さんはこの曲のような大人の恋愛に憧れますか。それとも重そうだと敬遠するほうですか。

僕自身は憧れないタイプですね。以前、水森先生に、二見は恋の歌を歌っても男女の恋愛のどろどろした感じがしない。フレッシュで青春の甘酸っぱい恋のイメージがするのは二見が恋愛のことを、まだあまり深く考えたことがないからだ言われたことがあって、自分でも確かにそうかもしれないなと思いました。なので〝罪な恋〟にはあまり憧れませんね(笑)。僕個人としては波風立たない、穏やかな恋がいいです。『君恋列車』みたいに青森まで追いかけたりしたくないですから(笑)。

――カップリングの『さよならの街角』は、表題曲から一転、ノリのいいムード歌謡です。

僕の初めてのムード歌謡は、4枚目のシングル『夢情の酒』のカップリング曲、『ごめんよ』なんですが、それに続いて今回も作詞をしてくださった森坂(とも)先生が、以前から「颯ちゃんはムード歌謡(が似合う)」って言ってくださっていたんです。僕もムード歌謡の曲調は大好きですし、カラオケで歌われる僕の曲のランキングでは『ごめんよ』がずっと2位に入るほどの人気なこともあって、いつかまたムード歌謡を歌いたいと思っていましたので、今回実現できて嬉しかったです。

――二見さん自身、すごく気持ちよさそうに歌われていると感じました。

サザンクロスの森雄二さんやアローナイツの木下あきらさん、それから森本英世さんなどなど、昭和のムード歌謡のアーティストの方々は、皆さんすごく個性的で、しかも聴きやすい。そんなムード歌謡に憧れていたこともあって、ピタッとはまったのかなと思います。初めての女唄でもありましたが、歌いやすくて感情も乗せやすかったです。

――さて、この4月には初の東京でのソロコンサートを行いました。アンコールまで全16曲、幅広いジャンルの歌を披露されましたが、手ごたえはいかがでしたか。

毎回、僕のコンサートは〝進化した二見颯一を披露する場〟というコンセプトでお届けしています。特に今回は初の東京でのソロコンサートということで、1曲目が三波春夫先生の長編歌謡浪曲『豪商一代 紀伊国屋文左衛門』、続く2曲目は稲垣潤一さんの『ドラマティック・レイン』という振れ幅の大きい構成を組み立てました。しかも曲間に袴姿からスーツに早替えまでして、全てがチャレンジでした。お客様に1曲たりとも同じ表情は見せないという意気込みは表現できたと思います。

――歌謡浪曲は初の挑戦だったとのことですが、やられてみて感想はいかがですか。

歌謡があって浪曲があって語りがある――この組み合わせは民謡でもないものですし、3つの要素を使い分けるのは至難のわざでした。しかもそこに所作が加わって、全てが初めての体験でしたから大変でした。ただ、多くの諸先輩方もやられてきた長編歌謡浪曲を経験するのは、演歌歌手として一度は通らなくてはならない道だと思っていましたので、今回チャレンジ出来たのはよかったと思っています。

――2019年にデビューしてまもなくコロナ禍になって、あまりライブ活動はできなかったと思いますが、ソロコンサートでお客様の前に立って改めて感じたことはありますか。

曲はリリースしていたとはいえ、昨年まで約3年は生の歌をお届けできなくて、皆さん、僕のことをどう評価してくださっていたのかすごく不安でした。ただ、今回ステージをやらせていただいて、お客様も歌い手以上に「応援したかったんだ」という大きなエネルギーを抱えていたことを感じることができました。僕たち歌い手とスタッフが、お客様に絶対喜んでもらおうという気持ちで作った作品を生でお届けして、それに対して声援が返ってくるというのは歌手冥利につきます。やはりステージはいいですね。

――『我ら演歌第7世代スペシャルコンサート』も人気ですが、最近ではさらに下の世代の方も出てきて、演歌・歌謡曲の世界もにぎやかになってきましたね。

皆さん、すごく個性的な方々が多くて、僕たち第7世代だけじゃなくて、後輩の皆さんも含めて何か一緒にできたら面白くなりそうだと感じています。この世代がもっともっと羽を広げて活躍できたら、演歌・歌謡界もより盛り上がるはずです。

――昔の歌謡界は歌手同士、ライバル関係が強かったと聞きますが、第7世代の皆さんは仲が良くて、でもそんな中で切磋琢磨もしている、いい関係ですね。

デビューして2、3年くらいは横のつながりはあまりなかったんですが、第7世代を結成してからは、いろいろ話すようになりました。ただ、第7世代のステージをやっていると、他の人が歌うのを後ろから見ることになるのですが、毎回、皆の後姿を見て、「あ、この人こういうことができるようになったんだ」って焦りを感じることはあります。

――焦りというのは、どういうことですか。

第7世代の5人は、お互いにどこが自分より秀でているか、詳しく分かっていると思うんです。他の誰かが、得意分野をコンサートまでにさらに極めてきたり、いつの間にか苦手要素を無くしてきたりすると、お互いにすぐ分かるので、ちょっとドキッとすることがあるんです。自分はこれくらい成長しただろうかと思って。

――ところで二見さんはお酒もお好きなようですが、第7世代の方々と飲みに行って熱く語り合うなんてことはありますか。

します、します(笑)。辰巳ゆうとさんや青山新さんなんかとはよく飲みに行きますが、最初は趣味の話などしていても、お酒が入ってくると絶対、演歌の話になります。特に青山さんは熱い男ですから(笑)。でも、飲んでいても最終的に仕事の話、演歌の話になるということは、皆、やっぱり演歌が好きなんだなということは思いますね。

――お酒も趣味のひとつかと思いますが、他に最近のマイブームといえば何ですか。

うーん、相変わらず歌って、絵を描いて(笑)の毎日ですから。でも、もし1週間休みがあったらキャンプに行ってみたいですね。それこそ辰巳さんがキャンプ好きで、この間も「颯ちゃん、今度一緒に行こうよ」って誘われました。どちらかというとインドア派ですが、田舎育ちということもあって外で遊ぶのも苦ではありません。辰巳さんは山梨まで〝ぼっちキャンプ〟に行ったりしていて、うらやましいなあって眺めています。

――今後の目標をお聞きします。まず5年目に突入した今、何を思いますか。

5年目に入ってもう半年が過ぎたわけですが、自分の気持ち的にも気合を入れてやってきましたし、ファンの皆さんからのこれまで以上に応援してあげようという熱も感じた半年でした。そんなファンの皆さんの声援に応えるためにも『罪の恋』で5周年の残り半年を突っ走りたいと思っています。年末に向かって、賞レースとか紅白歌合戦とか、いろんな場面で二見颯一の名前や歌を目にし、耳にする機会が増えれば、それも恩返しになると思いますので、頑張っていきます。

――〝歌手人生〟はまだ始まったばかりですが、20年後、30年後にはどんな歌い手になっていたいと思っていますか。

これは水森先生にも言われたことですが、歌といえば二見颯一と言われるようになることが目標です。例え二見颯一という名前は知らなくても二見の声と曲は誰もが知っている、そんな存在になりたい。僕は三橋美智也先生を尊敬していますが、昭和の時代に日本中の方が三橋先生の歌を口ずさんでいたように、二見の曲がどこに行ってもながれている――おこがましいかもしれませんが、そんな歌手になりたいという夢を持っています。

――最後に新曲を待っているファンに向けて『罪の恋』のアピールをお願いします。

 デビュー5年目ということで、『罪の恋』はちょっと背伸びして、大人のラブソングになりました。まだまだ慣れていない歌い方をしているかもしれませんが、その慣れていない感じが主人公の危うい心情と重なっている一曲になっていると思います。これまでとは違った二見颯一の一面を見ることができる『罪の恋』で、僕の新しい魅力を発見していただけたら嬉しいです。よろしくお願いします。

二見颯一『罪の恋』ミュージックビデオ

二見颯一『罪の恋』

二見颯一『罪の恋』CRCN-8613

発売中

品番:CRCN-8613
定価:¥1,500(税抜価格 ¥1,364)

【収録曲】

1.罪の恋
(作詩:麻こよみ/作曲:水森英夫/編曲:石倉重信)
2.さよならの街角
(作詩:森坂とも/作曲:水森英夫/編曲:石倉重信)
3.罪の恋(オリジナル・カラオケ)
4.さよならの街角(オリジナル・カラオケ)
5.罪の恋(一般用カラオケ・半音下げ)
6. さよならの街角(一般用カラオケ・半音下げ)

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