松前ひろ子・デビュー55周年記念曲シングル最終章は故郷の北海道・知内の『矢越岬』と 夫婦演歌の『命みちづれ』の両A面。『矢越岬』のMVの撮影で訪れた知内では道の駅に町民が大集結!「一緒に歌ってくれた映像を急遽入れることになりました!」

昨年からデビュー55周年イヤーとして次々と新曲をリリースしてきた松前ひろ子が今年6月25日、最終章としてリリースする曲が完成した。故郷に恩返しをしたいという思いが詰った楽曲と、2019年に他界した夫、作曲家・中村典正への思いが溢れる夫婦演歌だ。子育てをしながらの歌手の道、現在は芸能事務所を経営し後進の育成にも力を注ぎ多忙な日々を送る松前に新曲への思いや家族への思いも聞いた。
――新曲は「矢越岬」。故郷とお聞きしましたが、どんなところなんですか。
矢越岬の名前は知っていましたが、断崖絶壁で船に乗って海から見ないと分からない所なので行ったことはないんです。私も今回初めて映像で見て洞窟があることも知りました。漁師さんしか知らなかったんですけれど、民宿に泊まった観光客を漁師さんが船に乗せて連れて行ったことがきっかけで人気が出たそうです。訪れる人が増えたことで町がもっとPRしようということになって数年前から観光船が出るようになったと聞いています。
私も今回MVの撮影で見に行くつもりでいたんですが、天気が悪くて船が出せなかったんです。なので、映像をお借りしてMVの中に使わせて頂きました。
――松前さんの希望でこの“矢越岬”を歌うことになったんですか?
知内町から数年前に要望があったんですが、私も、今回曲を作ってくださった北島三郎さんもこの岬を知らなかったんです。漁師さん以外誰も知らない岬でしたから“絵が想像できない”と言うことで時が経っていました。
でも今回映像を見てみたら素晴らしいところだと分かったので、北島さんに話をして“それならば”ということで書いて頂くことになりました。少しでも町の観光お役に立てるなら…というご恩返しのつもりです。
――曲が出来上がってみていかがでしたか?
素敵な曲でした。自分史でした。私が故郷を後にしてがんばってきたという私の人生そのものでしたので胸が熱くなりました。3番の歌詞の“家族が眠る北の町”というのも私の両親のことを思い起こしました。
――北島さんからは何かご指導はあったんですか?
「張り切って歌うのではなく田舎を思って、詩を大切に丁寧に歌えな」と言われました。レコーディングにも「来てくれる?」と連絡したら立ち会って下さいました。最後までいて下さいました。MVは故郷で撮影したと話しましたら「皆の反響はどうだった?」と気にかけていていました。それから「無理しなくていいからがんばれよ」とも。
私は色々手術もしましたし、数年前から足に力が入るとフラフラして歌えなくなって杖を持って歌うようになったのですが、北島さんはから「まだまだ歌える。ずっと歌える。声が出てるから大丈夫だ」と言っていただきました。
最近「ひろ子」じゃなくて「松前さん」って言ってくれるようになったんです。それは芸能事務所をやっていて、三山ひろし君は紅白歌合戦に10回出場しました。小山雄大君もデビューから1年半が経ち、これから新人の女の子もデビューを控えているんです。それを報告したら「がんばるなー」と言ってくれました。多分そういうことが要因だと思います。だけど「もうそれでお終いにしろよ」と言われています。(笑)
――ご家族を大事にされている様子が前回のインタビューにもありましたが、5月の母の日は何かご家族からありましたか?
長女からは私の好きな花をもらい、お寿司屋さんにも連れて行ってもらいました。そして長男夫婦にはツツジをもらい、個々に真心があって素晴らしい母の日になりました。
今年は亡くなった主人の7回忌なので、その話も皆でしています。
――「命みちづれ」は亡くなったご主人を思い出すようなご夫婦の歌ですね。
はい。ここ暫く「恋する女が歌いたい」と言って夫婦演歌から離れていたんですが、北島さんに「夫婦演歌を書いて欲しい」とお願いしました。こちらも北島さんに「優しく歌ってくれ」と言われながらレコーディングしました。
――MVの撮影はいかがでしたか?
大変でした。MV撮影日の前日、町の防災に使う放送で「明日松前さんが道の駅に来ます。皆さんお集まりください」というようなことが流れたそうなんです。私はそれを知らずに行ったので何事かと思いました。沢山の方が道の駅に来てくださっていたんです。そこで映像を撮るだけの予定だったんですが、皆さん「矢越岬」の歌詞カードを持っていて、音楽に合わせて歌いだしちゃったんです。カメラさんも「皆さんの歌を撮影しますからどんどん歌ってください」ってなって。どこで練習したのかと思うくらいすぐに歌えるようになってびっくりしました。
皆が「ひろちゃん、よく来たねー」とか「〇〇の娘です」とか言ってくれて交流が出来たこともとても嬉しかったです。
映像としてずっとそれが残ることになったのも良かったと思いますし、映った方もそのご家族も喜んで見てくださると思っています。今までにないMVになりました。
両親と姉と兄と兄嫁が5人入っているお墓にも行ってそこに手を合わせるところも撮影してほしいとお願いして撮りました。
――カラオケを歌う時のポイントはありますか?
「矢越岬」は自分の人生を照らし合わせて歌っていただけたらと思います。情景を優しく伝えて欲しいですね。
「命みちづれ」は愛の歌です。明るく希望に燃えて歌ってください。詩を理解して歌って頂くのが一番です。
――これから55周年のコンサートがありますね。見どころを教えてください。
6月函館からスタートして9月の東京までやります。
三山君が私のために書いてくれた歌を発表します。「片恋文」と言います。私が亡くなった主人に「聞いてますか、今はこうしています」という内容の手紙の詩なんです。いつもは三山君と私の歌を交換して歌うんですが、今回は三山君が趣向を変えたいと。「僕が曲を作ったので松前ひろ子先生が中村典正先生を思う歌を歌って欲しい」と。それを三山君のレコード会社の日本クラウンさんが快諾してくれました。三山君のペンネームは中村心一と付けたそうです。意味を聞いたら「字の通りです。中村家は心ひとつです」と言ってくれて嬉しかったです。函館で初めて歌います。バックの映像も恋文が字で現れるようにします。
「矢越岬」はMVを流します。来ていただいた方に自分が映っているのを見て「私だ!俺だ!」と喜んで頂きたいんです。皆さんとお会いできるのを楽しみにしています!
「女は女のファンがつかなければだめ、男は男のファンがつかなければ本物ではない」と北島さんから言われたことがあるそうだ。松前さんは女性のファンが多い。それは松前さんの歌もさることながら、愛情あふれる温かい人柄に惹かれるのだろうと思った。いつまでもチャーミングなまま歌い続けて欲しい。
松前ひろ子『矢越岬/命みちづれ』
2025年6月25日(水)発売
品番:TKCA-91625
定価:¥1,500 (税抜¥1,364)
【収録曲】
1. 矢越岬(作詞:麻こよみ / 作曲:原譲二 / 編曲:遠山敦)
2. みちづれ(作詞:麻こよみ / 作曲:原譲二 / 編曲:遠山敦)
3. 矢越岬 (オリジナル・カラオケ)
4. 命みちづれ (オリジナル・カラオケ)
5. 矢越岬 (女声用カラオケ)
6. 命みちづれ (女声用カラオケ)
7. 矢越岬 (男声用カラオケ)
8. 命みちづれ (男声用カラオケ)
コンサート情報
松前ひろ子歌手人生55周年記念
松前ひろ子・三山ひろし~師弟の絆コンサート
6月28日(土) 北海道 函館市芸術ホール
6月29日(日) 秋田 あきた芸術劇場ミルハス
7月4日(金) 福岡 福岡市民ホール
7月5日(土) 大分 アストくにさきアストホール
7月7日(月) 岡山 岡山芸術創造劇場ハレノワ
7月8日(火) 広島 広島文化学園HBGホール
7月23日(水)大阪 新歌舞伎座
松前ひろ子歌手人生55周年記念コンサート
9月6日(土)
特別出演:三山ひろし~出逢いと縁に感謝を~
〈会場〉東京かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール
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