石川さゆりがデビュー50周年アルバム第2弾『Transcend』試聴会を開催! レコーディング界の巨匠・内沼映二と制作秘話語る

石川さゆり
2023.3.24

歌手の石川さゆりが22日、都内でデビュー50周年アルバム第2弾『Transcend』のメディア向け試聴会を開いた。

昨年、歌手デビュー50周年を迎えた石川さゆり。2月に発売された50周年記念アルバム『Transcend』は、レコーディング界の巨匠である内沼映二の手により、最高の音質を目指して制作。石川がこれまで歌ってきた2,000曲の持ち歌の中から、『津軽海峡・冬景色』『天城越え』などの6曲の代表曲を収録した。

同アルバムのプロデューサーには、内沼と親交がある斎藤ネコを起用し、3曲がビッグバンドジャズサウンド、他の3曲は大型編成ストリングス主体の編曲となった。石川のボーカルは全ての収録においてオーケストラと同時録音されており、臨場感あふれるファーストテイクを採用。ただ技術的な高スペックを追求しただけではなく、音楽的に高品位であるアルバムが完成した。

この日の試聴会が行われた後、石川と内沼がクロストークを行い、制作秘話を明かした。

石川さゆり

改めて収録曲を聴いた石川は「アナログレコードからCDが生まれたのは昭和から平成に変わっていく頃だったかと思います。CDを耳で聴いたときに、レコードを聴いたときのワクワクする感じ、そういうものが感じられず、狭いところに押し込まれちゃったような感じがしました。上の音が聴こえず、下のふくよかな音も聴こえない、“なんなんだろう、この窮屈な気持ちは”と、初めてCDを聴いたときに思いました。私たちはもうあの音を耳にすることはできないのかなとも思いました」と回顧しながら話した。

現在、ストリーミングサービスが音楽マーケットの主流となってきている中で、アナログレコードの魅力が再認識されていることを受けて、石川は「最近はLPというものが見直されて、若い世代の方へもLPを発売するようになって“みんなの耳も、生きている者が感じる音というものを感じていたんだ!”と安堵しました。50周年が経って今回の企画で、もっといい音を追求してみようという話になって、皆さんがこういう機会を提供してくださったので、幸せだと思いました」と話した。

さらに、内沼との制作作業について、「内沼さんのミキシングは、まるで魔法にかかるかのようです。自分でもこんな声が出せたのかと驚くような声が出せるようになります。発声して耳に返ってくるときに違う絵になっていると、頭の中でぐちゃぐちゃになってバランスが崩れてしまいます。ですが、内沼さんのミキシングだと、もっともっと景色が深まっていって、“好きに飛んでいいよ!”と言われているような、“行っちゃっていいんですね!”と思わせてくれて、自由になれるような感覚になります」と振り返った。

石川さゆり

内沼は石川について「さゆりさんの声が大好きなんですよね。日本人にしては珍しく倍音が適度にあって、ハイエンドで伸びたときの歌の感じがゾクッとします」と評価。石川が「お互いに探っている段階では、声が伸びていかないんですよね。あれはどうしてなんでしょう?」と聞くと、内沼は「人間ですからね。ほんのちょっとしたことで、ころっと変わるんです。我々にとっては、どういうふうに変わるのかが楽しいところなんです」と答えた。

内沼は、今後の石川に期待することとして「さゆりさんはいろんなジャンルを歌っていますよね。他のアーティストではここまでいろんなジャンルに歌っている方はいらっしゃらないかと思います。もっと違ったところに行ってみたいという感じがしますよね」と話した。

石川は内沼の言葉を受けて、「器用歌いにはなりたくないんです。いろんな世界に飛んでいきたい。まだやっていないことはたくさんあります。51年目から思いっきりやりたいです。『頑張る』って言葉もだんだん恥ずかしく思えてきたので、楽しみたいなと。でも、楽しむためには、みんなで本気で探さなきゃいけないんだと思います」と意気込んだ。

最後に石川は「皆さんとここまで仕事をしてこられたのは、幸せな歌い手なんだと改めて思いました。アドレナリンが出るような、高揚する気持ちは音楽にもあって、人が重なっていく、本気で重ねていったときに、聴いてくださる方が、いろんな形で“いいね”とさまざまな感動が生まれると感じます。私はそういうことを生業としてやってきた50年だったということを感じました。音楽のおかげでみんなが平和に感じられるんだと思います。今まで自分がやってきたことをさらに追求して、みんなで心優しく音楽を聴ける、そういう世の中になってほしいと切に願っています」と思いを込めた。

今回のアルバムの発売形態は、マスタリングに独自の手法「ラッカーマスターサウンド」を採用したCDと、アナログLP、オーディオマニア向けのSACD(シングルレイヤー)の3種。最高の音質でリアレンジされた石川さゆりの名曲の数々を、『Transcend』でぜひ体感してほしい。

石川さゆり

石川さゆり『Transcend』

発売中

CD

品番:TECE-3697
価格:¥3,080(税込)

アナログLP

品番:TEJE-55003
価格:¥5,500(税込)

SACD

品番:SSMS-066(TEE-1)
価格:¥6,600(税込)

【収録内容】

1.津軽海峡・冬景色(作詞:阿久 悠/作曲:三木たかし/編曲:船山基紀)
2.風の盆恋歌(作詞:なかにし礼/作曲:三木たかし/編曲:斎藤ネコ)
3.ウイスキーが、お好きでしょ(作詞:田口 俊/作曲:杉 真理/編曲:村田陽一)
4.人間模様(作詞:阿久 悠/作曲:杉本眞人/編曲:斎藤ネコ)
5.朝花(作詞・作曲:樋口了一/編曲:斎藤ネコ)
6.天城越え(作詞:吉岡 治/作曲:弦 哲也/編曲:斎藤ネコ)

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